はじめに
就労資格証明書は外国人の雇用において必ずしも必要なものではありませんが、取得することでビザ申請不許可リスクが下がる、雇用主企業が不法就労の助長を防ぐなど、外国人・企業双方にとって多くのメリットがあります。ここでは、就労資格証明書申請のポイントや注意点について解説します。
就労資格証明書とは 所持している在留資格が定めている活動内容と、実際に行っている(あるいは行う予定である)活動内容が一致していることを証明するための書類です。 就労ビザにはビザごとに就労の職種や業務内容が決まっています。職種が[…]
就労資格証明書の交付申請
申請者は?
申請者は下記のように定められています。よくあるパターンとして、転職先の受け入れ企業が採用予定の外国人に対して就労資格証明書の取得と提出を求めることがあります。小規模事業主等ですと自社で対応することがなかなか難しいことから、我々申請取次行政書士にご依頼されることも多いです。
少し混乱させますが、就労資格証明書はあくまでも希望する外国人が申請して交付されるものです。採用予定企業の担当者が入管に出向いても、その外国人の就労資格証明書を取得できるものではないことに注意が必要です。
- 本人
- 申請の取次の承認を受けている次の者で申請人から依頼を受けたもの
- 申請人が経営している機関または雇用されている機関の職員
- 申請人が研修または教育を受けている機関の職員
- 外国人が行う技能、技術または知識を習得する活動の監理を行う団体の職員
- 外国人の円滑な受け入れを図ることを目的とする公益法人の職員
- 入管に届出済みの弁護士または行政書士で申請人から依頼を受けたもの
- 本人の法定代理人
必要書類は?
記載の必要書類はあくまで一例です。外国人個々の状況によって他の書類や資料が必要となる場合があります。例えば、受け入れ企業が採用するに至った経緯や雇用理由書などです。
- 就労資格証明書交付申請書
- 旅券(パスポート)または在留カード
※提示できないときはその理由を記載した理由書 - 源泉徴収票(転職前の会社が発行したもの)
- 退職証明書(転職前の会社が発行したもの)
- 転職後の会社等の概要を証する資料
※公刊物等で会社等の概要が明らかになる場合は不要- 法人登記簿謄本(発行後3ヶ月以内)
- 直近の決算書の写し(新設会社の場合は、今後1年間の事業計画書)
- 会社等の案内書(取扱い商品あるいは提供するサービスの概要を説明するもの)
- 次のいずれかで、転職後の活動の内容、期間、地位および報酬が記載されている文書
- 雇用契約書の写し
- 辞令・給与辞令の写し
- 採用通知書の写し
- 上記に準ずる文書
- 本人の転職理由書
申請先は?
就労資格証明書申請書類の申請先は、居住地域を管轄する地方出入国在留管理局となります。
申請手数料は?
1,200円
手数料納付書に収入印紙を貼付します。
交付時期は?
転職に際して就労資格証明書を申請すると交付までにおよそ1~3ヶ月程度かかります。そのため、残りの在留期限について特に注意するようにしてください。
転職がない場合であれば、当日に交付されます。

就労資格証明書に関する注意点
在留期限が残り少ない場合
先述のとおり、転職のための就労資格証明書の取得には時間がかかります。在留期限がギリギリになっていては就労資格証明書の交付前に就労ビザ・在留期間の更新が来てしまいます。取得できる就労資格証明書はあくまで更新前の就労ビザに対して有効ですので、就労証明書取得の意味がなくなります。
なお、現在の在留資格で許可されている範囲内の業務への転職であっても、在留期間満了日まで残り6ヶ月を切っているような場合は、まず在留期間更新許可申請の手続きをしてください。いずれにせよ、業務内容が変わることがわかった段階で、できる限り早く就労資格証明書の申請することを心掛けてください。
就労資格証明書を提出しないことでの不当な扱いの禁止
就労資格証明書は雇用する外国人が適切な在留資格をもっているかどうかや、従事してもらう業務がその外国人の在留資格の活動範囲内のもであるか判断するためにぜひとも活用したい制度です。万が一認識のズレがあると雇用後の就労ビザ更新も不許可になり得ますし、不法就労助長として雇用した企業の責任も追及されかねません。
しかし,就労資格証明書の取得は必須ではありません。外国人側が就労資格証明書を提出しないことを理由に不当な扱いをしてはいけません。このことは、入管法19条の2第2項にて明確に定められており、違反すると罰則が与えられるので十分に注意してください。
まとめ
就労資格証明書の申請手続きに関する基礎事項をまとめました。就労資格証明書は、就労ビザの定める活動内容が実際の業務内容に合致しているかどうかの曖昧さをなくし、就労する外国人も受け入れる企業側も安心して外国人雇用ができます。
就労資格証明書の申請は知識や経験がないと難しいので、必要に応じて行政書士などの専門家にご相談することをお勧めします。
ご不明な点等ございましたらお気軽にお問い合わせください。静岡県、愛知県を中心に全国47都道府県のお手続きに対応可能です。

―記事を書いたのは私です―
行政書士あくろ事務所 代表
川戸 勇士
東大大学院博士課程修了/行政書士・薬剤師・博士(薬学)
薬・医療・国際化をキーワードとする許認可手続きを業務の柱として、すべての人が健康で豊かな暮らしを実現できる社会を目指しています。
レモンサワー・とり天・うなぎが大好物。
静岡県、愛知県を中心に全国47都道府県で外国人サポート、入管業務代行、ビザ申請可能!
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