はじめに
「技能実習」制度は、経済発展・産業振興の担い手を育成したいという発展途上地域のニーズに応えるため、一定期間日本の企業等がそれら地域からの人材を技能実習生として受け入れ、雇用関係契約を締結し、外国人実習生が自分の国では学ぶことが難しい技能等の修得・習熟・熟達を促進する「民間ベースによる人材育成を通じた国際協力の仕組み」です。
これまでの日本の産業現場において、人手不足解消のために技能実習生が活用されてきた側面があることは否定できませんが、これは技能実習制度の本来の趣旨・目的からはかけ離れています。
2017年11月に、技能実習法(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律)が施行されました。外国人技能実習機構が設立され、技能実習生の保護、適正な実習を実施するための体制が一層強化されました。具体的には、技能実習計画の認定制、実習実施者の届出制、監理団体の許可制などが厳格化されました。
一方、2019年4月に改正入管法が施行され、新たな在留資格として「特定技能」での受け入れが可能になりました。これにより、技能実習ビザ(在留資格「技能実習」)では技能実習法によって推進された技能実習生の保護や待遇の保証の強化はそのままに「労働」の側面が薄れ、「研修・実習」という技能実習制度本来の趣旨が改めて強化されることが期待されています。
したがって、今後は労働力不足の解消として技能実習生の受入れに代わり、「特定技能」ビザを持つ外国人労働者の活用が想定されます。しかしながら、まだまだ「特定技能」の浸透には時間がかかっており、依然として「技能実習」としての受け入れから外国人材活用をスタートさせるという企業も多いです(2020年末現在、技能実習生は約38万人)。労働力として雇用するための制度ではないという制度趣旨をしっかりと踏まえた上で技能実習生を受け入れている企業の多くは、技能実習生と企業双方が満足の高い制度活用を行っています。
技能実習制度
まず、制度上で重要となる下記の言葉や機関を確認してください。
- 技能実習生
技能を実習に来る外国人材です。18歳以上30歳程度等の要件があります。 - 実習実施者
技能実習生と雇用契約を結び、実習を行わせる日本の企業です。 - 監理団体
技能実習計画の作成指導や実習実施者に対する監査業務を担う非営利法人。
例:商工会、職業訓練法人、公益社団法人・公益財団法人、中小企業団体、農協、漁協 等 - 送出機関
人材を送り出す外国で技能実習生の募集や推薦、事前教育を行う機関です。 - 外国人技能実習機構
技能実習制度の適正な実施を監督する法務省、厚労省が所管する認可法人です。
外国人技能実習生の受入れ方法・人数
外国人技能実習生を受入れは、下記2種類のいずれかの方法で行います。技能実習生受入れ可能な人数は、受入れ企業(実習実施機関)の常勤職員の総数によって区分されています。
- 企業単独による受入れ(技能実習各号イ)
技能実習生が本国で所属する会社と取引関係又は資本関係にある日本の会社が、直接実習生を受入れ、決められたスケジュールに従って技能実習を行います。 - 監理団体による受入れ(技能実習各号ロ
事業協同組合等(監理団体)を通じてその組合員となっている企業が技能実習生を受入れ、決められたスケジュールに従って技能実習を行います。
受入れ可能人数 実習実施機関の常勤職員総数が- 50人以下・・・3人まで
- 51人以上100人以下・・・6人まで
- 101人以上200人以下・・・10人まで
在留資格区分
技能実習制度は、入国後1年目の技能を修得する第1号技能実習と2年目と3年目の第2号技能実習、そして4年目と5年目の第3号技能実習に分類されます。
1号から2号、2号から3号へ移行する際に、それぞれ技能検定、技能実施評価試験を受験し、合格しなければなりません。
- 「技能実習1号」
入国後1年目: 技能等を「修得」するための活動 - 「技能実習2号」
入国後2年目3年目: 技能等を「習熟」するための活動 - 「技能実習3号」
入国後4年目5年目: 技能等を「熟達」するための活動
これらをまとめると、「技能実習」は受け入れ方法(イ・ロ)と活動内容(1号~3号)に応じて「技能実習1号イ・ロ」「技能実習2号イ・ロ」「技能実習3号イ・ロ」の6つに区分されることになります。
技能実習生の保護
適正な技能実習が行われるために、監理団体と受入企業などを対象として下記の禁止行為が法律によって定められています。
強制の禁止
実習監理者等(実習の監理を行う者またはその役員・職員)は、暴行・脅迫・監禁等により技能実習生の意思に反して技能実習を強制することが禁止されています。(技能実習法46条)。
賠償予定の禁止
実習監理者等は、技能実習に関する契約不履行について違約金を定め、損害賠償額を予定する契約をしてはならない(同47条1項)。
強制貯蓄の禁止
実習監理者等は、技能実習に係る契約に付随して貯蓄・貯蓄金管理の契約をさせてはならない(同47条2項)。
パスポート・在留カードの保管の禁止
技能実習関係者(技能実習を行わせる者もしくは実習監理を行う者またはその役員・職員)は、技能実習生のパスポート・在留カードを保管してはならない(同48条1項)。
外出制限等の禁止
技能実習関係者は、技能実習生の外出その他の私生活の自由を不当に制限してはならない(同48条2項)。
まとめ
技能実習制度の概要について簡単に紹介しました。実際に外国人実習生を受け入れるためには多くの要件や手続きがあります。下記にてそれぞれまとめていますので確認してください。
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はじめに 技能実習制度は、経済発展・産業振興の担い手を育成したいという発展途上地域のニーズに応えるため、日本の技能、技術、知識の開発途上地域等への移転し、開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与することが主な目的です。一定期[…]
はじめに 技能実習制度は、経済発展・産業振興の担い手を育成したいという発展途上地域のニーズに応えるため、日本の技能、技術、知識の開発途上地域等への移転し、開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与することが主な目的です。一定期[…]
―記事を書いたのは私です―
行政書士あくろ事務所 代表
川戸 勇士
東大大学院博士課程修了/行政書士・薬剤師・博士(薬学)
薬・医療・国際化をキーワードとする許認可手続きを業務の柱として、すべての人が健康で豊かな暮らしを実現できる社会を目指しています。
レモンサワー・とり天・うなぎが大好物。
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