特定技能を活用する企業側のメリットとデメリット

「特定技能」ビザを活用する企業側のメリット&デメリット

はじめに

在留資格「特定技能」(「特定技能」ビザ)とは、下のコラムで解説したように小規模事業者や中小企業で顕在化している深刻な人手不足・労働力不足に対応するため、一定レベルの専門性や知識・技能をもつ外国人を積極的に受け入れていく仕組みとしてつくられた制度です。

ご参照ください

「特定技能」とは 「特定技能(1号/2号)」は2019年4月の改正出入国管理法の施行により新しく創設された在留資格です。さまざまな分野でAI技術やIT技術を活用して単純労働がオートメーション化される一方、人の手を使うしかない分野/業[…]

特定技能ビザの概要

ここでは、実際に企業等が「特定技能外国人」を雇用する場合、どのようなメリットやデメリットがあるのかについて簡単に確認していきましょう。

特定技能外国人を雇用するメリット

大きく分けると、特定技能外国人を雇用する企業側のメリットは以下の7点が考えられます。

  1. 人手不足が解消される
  2. 即戦力となる人材を雇用できる
  3. 「技能実習」ビザから引き続き労働が可能
  4. 日本語能力がある
  5. 入国・雇用までは早い
  6. フルタイム勤務が可能
  7. 雇用期限は実質無期限(特定技能2号)

人手不足が解消される

制度の趣旨として当然ですが、まず何よりも労働力不足の解消がメリットとして挙げられます。勘違いされやすいですが、「特定技能」は外国からだけではなく国内にいる外国人も要件を満たせば雇用することができます。また、「技能実習」外国人のほとんどは監理団体を経由して雇用するのが一般的ですが、「特定技能」はそのような制度はなく、様々な採用ルートがあり、選択肢が広がります。

ご参照ください

はじめに 在留資格「特定技能」(「特定技能」ビザ)とは、下のコラムで解説したように小規模事業者や中小企業で顕在化している深刻な人手不足・労働力不足に対応するため、一定レベルの専門性や知識・技能をもつ外国人を積極的に受け入れていく仕組[…]

特定技能制度で採用する具体的パターン

即戦力となる人材を雇用できる

外国人が在留資格「特定技能」(「特定技能」ビザ)を得るためには「相当程度の知識または経験」が必要です(特定技能1号)。それらを示すために、「特定技能」取得は技能実習2号の修了または各分野の技能試験に合格することが求められています。言い換えれば、就労先の業務について、すでに一定以上の知識を持った即戦力人材を採用することができます。

「技能実習」ビザから引き続き労働が可能

在留資格「技能実習」(技能実習ビザ)を持つ外国人、つまり技能実習生を特定技能外国人として採用すること、あるいは、すでに雇用している技能実習生の在留資格を「特定技能」に変更することも可能です。現在、「特定技能」は新規取得ではなく「技能実習」からの在留資格変更が主流となっています。

なお、技能実習から特定技能へ移行する場合、技能実習を「良好に修了」することで、「特定技能」を直接新規に取得する際に求められる技能試験や日本語試験は免除されます。また、「特定技能」取得後の在留期間に関して、技能実習生としての就労期間はカウントされません。実質、技能実習生としての就労期間からさらに5年間滞在期間が延びることになり、長く働いてもらうことが可能になります。

日本語能力がある

「特定技能」を取得できる外国人は、「日本語評価試験」という日本語能力を問う試験に合格している、またはN4以上の日本語能力(日常でよくある文章を理解できる、ややゆっくりの会話であれば理解できる)を持っています。そのため、日常生活や業務遂行に必要な日本語能力としては十分であり、スムーズなコミュニケーションが可能です。

なお、前項で述べたように「技能実習」から「特定技能」への切り替えの場合、日本語評価試験の受験が免除されることがあります。試験を経ている外国人と比較して日本語能力が乏しい場合もありますが、基本的なコミュニケーションであればそれほど問題にならないでしょう。

入国・雇用までが早い

「特定技能」では、各分野に応じた特定技能試験や日本語評価試験にクリアして在留資格を取得した時点で入国、雇用が可能です。比較対象となる「技能実習」の場合、入国までの手続きが多く、実際の受け入れまでに半年やそれ以上費やすことも少なくありません。

フルタイム勤務が可能

特定技能の場合は日本人従業員と同様にフルタイムでの労働が可能です。在留資格には勤務時間に制限が設けられているものも多く、例えば外国人をアルバイトとして雇用する場合は週28時間までと決められています。特定技能は就労制限を気にする必要がありません。

雇用期限は実質無期限(特定技能2号)

特定技能2号の場合、3年・1年・6ヶ月ごとに在留期間の更新が必要ですが更新回数に制限はありません。つまり、事実上永続的に日本に在留することが可能になります。

特定技能を活用する企業側のメリットとデメリット

特定技能外国人を雇用するデメリット

大きく分けると、特定技能外国人を雇用する企業側のデメリットは以下の3点が考えられます。

  1. 申請手続きが面倒
  2. 技能実習より初期費用がかかる
  3. 特定技能1号の在留期間は最長5年

申請手続きが面倒

入管申請業務全般について言えることであり、「特定技能」に限ったことではないですが、資格取得申請等の手続きが煩雑で面倒であるという点が一番のデメリットです。実際、煩雑な手続きをする中でギブアップし、特定技能外国人を雇用することをやめてしまう企業も多いです。入管への申請業務に加えて、分野によっては受け入れる外国人の母国機関とのやり取りも必要になります。また、特定技能制度では外国人を受け入れた後も引き続き支援を行うことや、入管に対して受入状況等の定期報告が求められています。
自社で対応が難しい場合は、これら特定技能外国人の雇用サポートを行っている「登録支援機関」に業務委託することも良いと思われます。

技能実習より初期費用がかかる

技能実習生を雇用する場合の初期費用と比較して、特定技能外国人を雇用する際の初期費用は高額になる傾向があります。特定技能の在留資格を取得した人材を採用する場合は、人材派遣会社からの紹介が多いことが予想されます。これら人材紹介サービスを利用する場合の手数料として、外国人の年収の20~30%程度が相場とされており、外国人人材の国籍等によって変動するものの手数料として1人あたり40~80万円程度は必要です。

特定技能1号の在留期間は最長5年

特定技能1号には在留期間の制限があり、いずれの分野においても「最長(通算)5年」です。期間満了時には母国へ帰国するか在留資格の変更が必要です。継続して雇用をしたい場合は、外国人本人に在留資格を変更してもらう必要があります。変更する在留資格として例えば、「技術・人文知識・国際業務ビザ」が挙げられます。分野によっては2号への移行も不可能ではないですが、件数は今のところ少ないです。

特別な場合となりますが、在留期間中に日本人と結婚した場合などは、就労制限がない在留資格「日本人の配偶者等」(いわゆる結婚ビザ)といった身分系在留資格に変更し、更新を重ねることで実質的に就労期間を延長させることも可能です。

特定技能を活用する企業側のメリットとデメリット

まとめ

「特定技能」ビザについて、企業が活用する際のメリットやデメリットを大まかに解説しました。

ビザ申請では制度の概要把握や必要書類の正確な理解が必要です。ご不安やご不明な点がございましたら、お気軽に当事務所へご相談ください。入管申請手続きの専門家である当事務所が責任をもって手続き完了までサポートいたします。

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川戸勇士 静岡県磐田市の行政書士

―記事を書いたのは私です―

行政書士あくろ事務所 代表
川戸 勇士

東大大学院博士課程修了/行政書士・薬剤師・博士(薬学)
薬・医療・国際化をキーワードとする許認可手続きを業務の柱として、すべての人が健康で豊かな暮らしを実現できる社会を目指しています。
レモンサワー・とり天・うなぎが大好物。


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特定技能制度で採用する具体的パターン

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