はじめに
日本で医療に従事する場合の資格としては、在留資格「医療」、「介護」、「技能実習」、「特定技能」、「特定活動」などが挙げられます。ここでは、まずは在留資格「特定活動」を取得して日本の医療に従事する場合について簡単に紹介した後、その他の資格についてまとめたいと思います。
日本の医療に従事する場合の在留資格
二国間の経済連携協定の適用を受ける看護師等としての活動
日本は、インドネシア(略して、尼)、フィリピン(比)、ベトナム(越)の各国と二国間で取り決め、すなわち二国間協定(以下、EPA)を結んでいます。そのため、これらを母国とする外国人は、「EPA看護師候補者」、「EPA介護福祉士候補者」、「EPA看護師家族」、「EPA介護福祉士家族」という在住資格「特定活動」(以下、まとめて「EPA看護師候補者等」)を取得することができます。
「EPA看護師候補者等」の在留資格は、一定の要件を満たす外国人が一定の要件を満たす日本の病院・施設等で看護師候補者、介護福祉士候補者として就労または就労しながら、日本の看護師または介護福祉士の国家資格を取得するための研修を受け、国家資格取得後は引き続き日本で就労することを想定しています。
実際に国家資格取得後に当該看護や介護業務に従事する場合は、さらに在留資格を「EPA看護師」または「EPA介護福祉士」に変更することになります(”候補者”が取れる)。

「特定活動」以外の医療系在留資格(医療系就労ビザ)
「医療」
医療関係の業務につく専門家(医師、歯科医師、薬剤師、看護師等)を受け入れるために設けられた在留資格です。
「介護」
2016年の法改正で新たに設定された在留資格です。外国人留学生が日本の介護福祉士の資格を取得した後、在留資格を「留学」から「介護」に変更して引き続き日本で介護福祉業務に従事することを想定しています。後述の「技能実習」や「特定技能1号」と異なり、通算在留期間に制限がありません。また、在留資格「家族滞在」(家族滞在ビザ)を取得することにより、家族を帯同させることも可能です。
「技能実習(介護)」
「技能実習」制度は、経済発展・産業振興の担い手を育成したいという発展途上地域のニーズに応えるため、一定期間日本の企業等がそれら地域からの人材を技能実習生として受け入れ、雇用関係契約を締結し、外国人実習生が自分の国では学ぶことが難しい技能等の修得・習熟・熟達を促進する「民間ベースによる人材育成を通じた国際協力の仕組み」です。
いくつか業務に応じた分類がなされていますが、介護だけに特徴的な要件として一定の日本語能力を持っていること、または日本語を継続的に学ぶ医師を表明していること等が必要です。
はじめに 「技能実習」制度は、経済発展・産業振興の担い手を育成したいという発展途上地域のニーズに応えるため、一定期間日本の企業等がそれら地域からの人材を技能実習生として受け入れ、雇用関係契約を締結し、外国人実習生が自分の国では学ぶこ[…]
「特定技能(介護)」
「特定技能(1号/2号)」は2019年4月の改正出入国管理法の施行により新しく創設された在留資格です。さまざまな分野でAI技術やIT技術を活用して単純労働がオートメーション化される一方、人の手を使うしかない分野/業種においては、特に中小・小規模事業者での人手不足が深刻化しています。
このような背景から、生産性向上や国内人材の確保のための取り組みを行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みとしてつくられた制度です。
「特定技能」とは 「特定技能(1号/2号)」は2019年4月の改正出入国管理法の施行により新しく創設された在留資格です。さまざまな分野でAI技術やIT技術を活用して単純労働がオートメーション化される一方、人の手を使うしかない分野/業[…]
まとめ
在留資格「特定活動」で日本国内の医療活動に従事できるパターンを紹介しました。医療に従事するための在留資格としては、他にも何種類か存在します。在留資格ごとに設けられた趣旨や経緯、在留資格への該当性や細かな要件、具体的活動内容が異なります。専門性や日本語能力の程度、キャリアプラン等に応じてどの在留資格を取得するのがベストなのか、しっかりと考える必要があります。
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―記事を書いたのは私です―
行政書士あくろ事務所 代表
川戸 勇士
東大大学院博士課程修了/行政書士・薬剤師・博士(薬学)
薬・医療・国際化をキーワードとする許認可手続きを業務の柱として、すべての人が健康で豊かな暮らしを実現できる社会を目指しています。
レモンサワー・とり天・うなぎが大好物。
「特定活動(ワーキングホリデー)」とは そもそもワーキング・ホリデー制度とは、二国・地域間の取決め等(二国間協定)に基づいて、各々が相手国・地域の青少年に対し、休暇目的の入国と滞在期間中における旅行・滞在資金を補うための付随的な就労[…]
内定がなかった場合、卒業後も日本に滞在できる? 外国人留学生の中には、日本で就職して卒業後も引き続き日本国内に在留することを希望する方が少なくありません。日本政府もこれを積極的にサポートすることを目的に、2019年に在留資格「特定活[…]
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