特定細胞加工物製造に必要な許認可の種類
前回は細胞加工物の法規制上の分類、特定細胞加工物と再生医療等製品について確認しました。今回は、特定細胞加工物製造の業態として3つの許認可分類、「届出」・「許可」・「認定」について一つ一つ確認していきましょう。
特定細胞加工物製造届
まず大前提ですが、再生医療等安全性確保法に基づき、医院で再生医療を実施するためにはあらかじめ再生医療等提供計画を厚生労働大臣に提出しなければなりません。これに加えて、当該再生医療で用いる細胞加工物(PRPやCGFなど)を医院内で製造する場合、特定細胞加工物製造届書を提出する必要があります。具体的にいうと、以下のような施設において特定細胞加工物を製造する場合、次項で説明する許可を受けた施設に準じるものとみなされ、必要な項目を記載して地方厚生局長(許可権者)に届出をするだけでよいことになります(再生医療等安全性確保法第40条)。
- 病院やクリニック内に設置される細胞培養加工施設
- 再生医療等製品の製造業許可を受けた製造所に該当する細胞培養加工施設
- 臍帯血供給事業の許可を受けた者が臍帯血供給事業の用に供する細胞培養加工施設
なお、「届出」とは形式上の要件に適合している、すなわち届出書の記載事項に不備がなく、届出書に必要な書類が添付されている場合に、届出が提出先の行政機関の事務所に到達したときに届出義務を果たしたものとなります(行政手続法第2条第7項、第37条)。したがって不許可という概念は定義上ありませんが、不備がある場合にはそれを補完する必要があります。
特定細胞加工物製造届書で届け出る事項は以下のとおりです。
- 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
- 細胞培養加工施設の管理者の氏名及び略歴
- 製造をしようとする特定細胞加工物の種類
- その他厚生労働省令で定める事項
特定細胞加工物製造許可申請
再生医療で用いる細胞加工物を医院内ではなく外部機関に製造委託することも可能です。その場合、当該外部機関は特定細胞加工物製造事業者として細胞培養加工施設ごとに許可を受ける必要があります。ここで注意です。常に製造を行うのではなく(業として行うのではなく)一回きりの特定細胞加工物の製造であっても許可申請が必要になります。
なお、「許可」も「届出」も要件は同じですが、先ほどの「届出」と異なり、「許可」申請の場合は許可権者の地方厚生局長(特定細胞加工物製造許可の場合、PMDAの調査が行われます)から「許可」だけでなく「不許可」の判断を受けることもあります。また、許可には一般に有効期間があり、特定細胞加工物製造許可も例外ではありません(5年)。業許可後においても特定細胞培養加工施設の構造設備の運用状況について定期的に確認・報告し、更新手続きが必要です(再生医療等安全性確保法第35条第1項、同第36条第1項)。
特定細胞加工物製造認定申請
特定細胞加工物の製造は、国内事業者だけでなく外国製造事業者も行うことができます。仮に外国製造事業者に法律違反や医療の安全に関わる重大事案が生じた場合、外国の法規制で許可を取得している外国製造事業者に対して日本の法規制で直接的に罰則を与えることはできません。これを回避するため、外国において日本の再生医療等に用いられる特定細胞加工物を製造しようとするものは、細胞培養加工施設ごとに厚生労働大臣の認定を受けることができるものとし、仮に上記のような事案が生じた場合は認定の取り消しという処分が下されるようになっています(再生医療等安全性確保法第39条第1項、第2項前段)。したがって、「許可」と「認定」は国内か外国かの違いはあれど申請要件や更新要件は同じです(許可を準用。ただし、許可権者は厚生労働大臣)。
おわりに
以上のように、特定細胞加工物製造に関わる許認可として、再生医療を行う医院内で特定細胞加工物を製造するための「届出」、特定細胞加工物を製造委託ための当該外部機関における「許可」、製造を外国事業者が行う場合の厚生労働大臣による「認定」の3種類があることを確認しました。
PRP療法やCGF療法では多くの場合において同一医院内で患者から採血したものを調製するため、再生医療を提供するためには一般的に再生医療等提供計画に加えて特定細胞加工物製造届の作成と提出が必要です。
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―記事を書いたのは私です―
行政書士あくろ事務所 代表
川戸 勇士
東大大学院博士課程修了/行政書士・薬剤師・博士(薬学)
薬・医療・国際化をキーワードとする許認可手続きを業務の柱として、すべての人が健康で豊かな暮らしを実現できる社会を目指しています。
レモンサワー・とり天・うなぎが大好物。
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