再生医療等の「等」とは?
再生医療「等」という言葉は、主に二つの再生医療関係法、「再生医療等安全性確保法」と「薬機法」の中で用いられます。日常的な「等」の使い方で言えば、再生医療「的な同種のものが他にもまだある」といった意味合いですが、法律的に正確ではありません。再生医療等安全性確保法で用いられる再生医療等の「等」、あるいは薬機法の中で用いられる再生医療等の「等」について、これらが何を指しているのかをしっかり確認しましょう。
再生医療等安全性確保法で用いられる再生医療等の「等」
再生医療等安全性確保法で用いられる再生医療等は、次にあげる要件すべてを満たすものと定義されています(法2条、法2条第2項)。
- 次を目的とする医療技術により行われる医療のうち、治験を除くもの
・人の身体の構造または機能の再建、修復、または形成
・人の疾病または予防 - 細胞加工物を用いる医療技術により行われる医療
- 再生医療等製品のみを当該承認の内容に従って用いる医療技術により行わる医療
- 安全確保措置等を講ずる必要があるため、政令で定める医療技術により行われる医療
世間一般にいう「再生医療」は、“病気やケガでダメになった組織や臓器を再生させる医療”だと思われます。上記リスト要件すべてを満たすものを再生医療等安全性確保法では「再生医療等」と定義しており、世間的イメージの「再生医療」は「再生医療等」を構成する要件の一つにすぎません。重要なのは細胞加工物を用いる医療技術という部分です。すなわち、見た目の上で身体に再生部分がなくとも、細胞加工物を用いた医療技術によって疾病の治療を行う場合には再生医療等安全性確保法で規制されます。逆に、人の身体の構造の再建や形成であっても細胞加工物を用いない医療、例えば、シリコンバッグによる豊胸手術やヒアルロン酸注入によるしわ取りなどは「再生医療」といって良いかもしれませんが、再生医療等安全性確保法では規制対象外です。
「再生医療等」は法律上定義される言葉にすぎないのですが、あえて「等」のニュアンスを出すのであれば、再生医療「的な同種のもので、さらにいくつか要件を備えたもの」を再生医療「等」と呼び、その必須要件が細胞加工物の使用です。したがって、平たく言えば「再生医療等」≒「再生医療」+「細胞治療」と理解してかまいません。
薬機法で用いられる再生医療等の「等」
再生医療の実用化に向けた研究開発や普及を促進する国の施策として定められた再生医療等安全性確保法ですが、同時に旧薬事法においては新カテゴリー「再生医療等製品」が創設され、新しい法律名、薬機法(医薬品医療機器等法)として改正されました。
薬機法の中で用いられる再生医療等製品の「等」は、先に解説した再生医療等安全性確保法における再生医療等の「等」と同義でしょうか。実は少しだけ違います。薬機法では再生医療等製品について次のように定義しています(法2条第9項)。
- 次に掲げる医療または獣医療に使用されることが目的とされている物のうち、人または動物の細胞に培養その他の加工を施したもの
・人または動物の身体の構造または機能の再建、修復または形成
・人または動物の疾病の治療または予防 - 人または動物の疾病の治療に使用されることが目的とされている物のうち、人または動物の細胞に導入され、これらの体内で発現する遺伝子を含有させたもの
微妙に違うことがわかりますでしょうか。そうです。遺伝子を扱う製品であるという項目が追記されています。ここでもあえて「等」のニュアンスを出すのであれば、「再生医療等製品」≒「再生医療製品」+「細胞治療製品」+「遺伝子治療製品」となります。遺伝子治療薬は再生医療等製品ですが、遺伝子治療薬を用いて実施される医療は再生医療等ではありません。
おわりに
再生医療等安全性確保法で用いられる再生医療等の「等」は「細胞治療」
薬機法で用いられる再生医療等の「等」は「細胞治療」+「遺伝子治療」
きわめて紛らわしいですが、二つの再生医療関係法の中においても再生医療「等」の定義が違うことを解説しました。許認可取得時に限らず、日ごろの運用や来たる更新においても、正しい法解釈やルール理解をもって手続きをしなければならないので大変です。
再生医療を提供するためには、法律に従った導入手続きと運用が必要であり、制度の概要把握や必要書類の正確な理解が大切です。再生医療手続きの専門家である当事務所が責任をもってサポートいたします。
ご不明な点がございましたら、お気軽に当事務所へご相談ください。静岡県、愛知県を中心に全国47都道府県のお手続きに対応可能です。

―記事を書いたのは私です―
行政書士あくろ事務所 代表
川戸 勇士
東大大学院博士課程修了/行政書士・薬剤師・博士(薬学)
薬・医療・国際化をキーワードとする許認可手続きを業務の柱として、すべての人が健康で豊かな暮らしを実現できる社会を目指しています。
レモンサワー・とり天・うなぎが大好物。
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