再生医療等安全性確保法におけるリスク分類

法の対象範囲とリスク分類

法の対象範囲とリスク分類

1. 再生医療等安全性確保法における用語の定義

簡略化するために実際の法律の文言を変えているところがあります。

再生医療等

ー第2条ー
「再生医療等」とは、再生医療等技術を用いて行われる医療のうち、医薬品医療機器等法(薬機法)に規定する治験に該当するものを除くものをいう。

再生医療等技術

ー第2条の2ー
「再生医療等技術」とは、次に掲げる医療に用いられることが目的とされている医療技術であって、細胞加工物を用いるもののうち、その安全性の確保等に関する措置その他のこの法律で定める措置を講ずることが必要なものとして政令で定めるものをいう。
① 人の身体の構造又は機能の再建、修復又は形成
② 人の疾病の治療又は予防

細胞

ー第2条の3ー
「細胞」とは、細胞加工物の原材料となる人又は動物の細胞をいう。

細胞加工物、特定細胞加工物、製造、細胞培養加工施設

ー第2条の4ー
「細胞加工物」とは、人又は動物の細胞に培養その他の加工を施したものをいい、「特定細胞加工物」とは、再生医療等に用いられる細胞加工物のうち再生医療等製品であるもの以外のものをいい、細胞加工物について「製造」とは、人又は動物の細胞に培養その他の加工を施すことをいい、「細胞培養加工施設」とは、特定細胞加工物の製造をする施設をいう。

加工とは?

厚生労働省医政局研究開発振興課長通知(医政研発1031第1号)

「加工」とは、 細胞・組織の人為的な増殖・分化、細胞の株化、細胞の活性化等を目的とした薬剤処理、生物学的特性改変、非細胞成分との組み合わせ又は遺伝子工学的改変等を施すことをいうものとすること。
組織の分離、組織の細切、細胞の分離、特定細胞の単離(薬剤等による生物学的・化学的な処理により単離するものを除く。)、抗生物質による処理、洗浄、ガンマ線等による滅菌、冷凍、解凍等は「加工」とみなさないものとすること(ただし、本来の細胞と異なる構造・機能を発揮することを目的として細胞を使用するものについてはこの限りでない。)。

非常にわかりにくいですが、「加工」に当たるもの、当たらないものを例示すると以下のようになります。

  • 「加工」に該当する
    • 培養
    • 遺伝子導入
    • 薬剤処理(抗生物質による処理は除く)
    • 酵素処理による細胞の分離、単離
    • 自己多血小板血漿療法(PRP療法)
    • 血小板濃縮フィブリン製剤を用いた再生治療(歯科CGF療法) など
  •  
  • 「加工」に該当しない
    • 細胞の滅菌処理
    • 細胞や組織の分離、細切
    • 細胞や組織・臓器の冷凍保存・解凍
    • 臓器・組織移植 など

第一種再生医療等技術、第一種再生医療等

ー第2条の5ー
「第一種再生医療等技術」とは、人の生命及び健康に与える影響が明らかでない又は相当の注意をしても人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあることから、その安全性の確保等に関する措置その他のこの法律で定める措置を講ずることが必要なものとして厚生労働省令で定める再生医療等技術をいい、「第一種再生医療等」とは、第一種再生医療等技術を用いて行われる再生医療等をいう。

第二種再生医療等技術、第二種再生医療等

ー第2条の6ー
「第二種再生医療等技術」とは、相当の注意をしても人の生命及び健康に影響を与えるおそれがあることから、その安全性の確保等に関する措置その他のこの法律で定める措置を講ずることが必要なものとして厚生労働省令で定める再生医療等技術をいい、「第二種再生医療等」とは、第二種再生医療等技術を用いて行われる再生医療等をいう。

第三種再生医療等技術、第三種再生医療等

ー第2条の7ー
「第三種再生医療等技術」とは、第一種再生医療等技術及び第二種再生医療等技術以外の再生医療等技術をいい、「第三種再生医療等」とは、第三種再生医療等技術を用いて行われる再生医療等をいう。

再生医療等技術のリスク分類

下のフローチャートに従うことで、提供しようとする再生医療等技術がどのリスクに分類されるかを確認することができます。実際の再生医療等の提供開始には各々のリスク分類に沿った手続き(提供計画の作成や提出、認定再生医療等委員会での審査など)が必要となります。

  1. 第一種再生医療等・・・ヒトに未実施など高リスクのもの(ES細胞、iPS細胞等)
  2. 第二種再生医療等・・・現在実施中など中リスクのもの(体性幹細胞等)
  3. 第三種再生医療等・・・低リスクのもの(体細胞を加工等)
再生医療等技術のリスク分類フローチャート

政令で除外する医療技術

次に掲げるのは法から除外されます。ただし、遺伝子導入細胞を用いる場合、ES細胞やiPS細胞由来の細胞加工物を用いる場合などは再生医療等に該当することに注意が必要です。

  1. 細胞加工物を用いる輸血
  2. 造血幹細胞移植
  3. 生殖補助医療:人の精子又は未受精卵に培養その他の加工を施したものを用いる医療技術

相同利用とは

厚生労働省医政局研究開発振興課長通知(医政研発1031第1号)

「相同利用」については、採取した細胞が再生医療等を受ける者の再生医療等の対象となる部位の細胞と同様の機能を持つ細胞の投与方法をいい、例えば、腹部から脂肪細胞を採取し、当該細胞から脂肪組織由来幹細胞を分離して、乳癌の術後の患部に乳房再建目的で投与することは相同利用に該当するが、脂肪組織由来幹細胞を糖尿病の治療目的で経静脈的に投与することは、脂肪組織の再建を目的としていないため相同利用には該当しない。また、末梢血を遠心分離し培養せずに用いる医療技術については、例えば、皮膚や口腔内への投与は相同利用に該当するが、関節腔内等、血流の乏しい組織への投与は相同利用に該当しない。

他にも、相同利用に該当しないものを例示しておきます。

  1. 骨髄から採取した間質細胞を培養せずに、血管新生に用いる場合(相同利用ではない)
  2. 自己臍帯血から採取した細胞を培養せずに、脳性麻痺の治療に用いる場合(相同利用ではない)

まとめ

再生医療等の安全性の確保等に関する法律について、法の対象範囲とリスク分類を解説しました。

再生医療を提供するためには、法律に従った導入手続きと運用が必要であり、制度の概要把握や必要書類の正確な理解が大切です。再生医療手続きの専門家である当事務所が責任をもってサポートいたします。

ご不明な点がございましたら、お気軽に当事務所へご相談ください。静岡県、愛知県を中心に全国47都道府県のお手続きに対応可能です。


川戸勇士 静岡県磐田市の行政書士

―記事を書いたのは私です―

行政書士あくろ事務所 代表
川戸 勇士

東大大学院博士課程修了/行政書士・薬剤師・博士(薬学)
薬・医療・国際化をキーワードとする許認可手続きを業務の柱として、すべての人が健康で豊かな暮らしを実現できる社会を目指しています。
レモンサワー・とり天・うなぎが大好物。


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