医薬部外品の定義~そもそも医薬部外品とは~
医薬部外品とは・・・
「人体に対する作用が緩和であり、機械器具等でないもの」であり、医薬品ではないものの医薬品に準ずるものとして、取り扱いに十分な注意が必要な製品を言います。薬機法第2条第2項第1号から第3号で定められていることから、それぞれ第1号医薬部外品、第2号医薬部外品、第3号医薬部外品(指定医薬部外品)と呼ぶことがあります。
- 第1号
次のイからハまでに掲げる目的のために使用される物であって機械器具等でないもの- イ 吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
(例:口臭スプレー、制汗スプレー、うがい薬) - ロ あせも、ただれ等の防止
(例:シェービングクリーム、ただれ防止クリーム) - ハ 脱毛の防止、育毛又は除毛
(例:育毛剤、除毛剤)
- イ 吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
- 第2号
人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみその他これらに類する生物の防除の目的のために使用される物であって機械器具等でないもの
(例:ねずみ駆除剤、殺虫剤、蚊取り線香) - 第3号(指定医薬部外品)
薬機法第2条第1項第2号又は第3号に規定する目的のために使用される物のうち、厚生労働大臣の指定するもの
1.指定医薬部外品について
第3号(指定医薬部外品、平成21年厚生労働省告示第25号)として以下のものがあります。指定医薬部外品は平たく言えば、規制緩和によって医薬品からのちに医薬部外品へ移行した品目を指します。ただし、同一カテゴリー、例えば「十六:整腸薬」であっても指定医薬部外品の整腸薬もあれば医薬品の整腸薬もあることに注意が必要です。
一 | 胃の不快感を改善することが目的とされている物 |
---|---|
二 | いびき防止薬 |
三 | 衛生上の用に供されることが目的とされている綿類(紙綿類を含む。) |
四 | カルシウムを主たる有効成分とする保健薬(第十九号に掲げるものを除く。) |
五 | 含嗽(そう)薬 |
六 | 健胃薬(第一号及び第二十七号に掲げるものを除く。) |
七 | 口腔咽喉薬(第二十号に掲げるものを除く。) |
八 | コンタクトレンズ装着薬 |
九 | 殺菌消毒薬(第十五号に掲げるものを除く。) |
十 | しもやけ・あかぎれ用薬(第二十四号に掲げるものを除く。) |
十一 | 瀉下薬 |
十二 | 消化薬(第二十七号に掲げるものを除く。) |
十三 | 滋養強壮、虚弱体質の改善及び栄養補給が目的とされている物 |
十四 | 生薬を主たる有効成分とする保健薬 |
十五 | すり傷、切り傷、さし傷、かき傷、靴ずれ、創傷面等の消毒又は保護に使用されることが目的とされている物 |
十六 | 整腸薬(第二十七号に掲げるものを除く。) |
十七 | 染毛剤 |
十八 | ソフトコンタクトレンズ用消毒剤 |
十九 | 肉体疲労時、中高年期等のビタミン又はカルシウムの補給が目的とされている物 |
二十 | のどの不快感を改善することが目的とされている物 |
二十一 | パーマネント・ウェーブ用剤 |
二十二 | 鼻づまり改善薬(外用剤に限る。) |
二十三 | ビタミンを含有する保健薬(第十三号及び第十九号に掲げるものを除く。) |
二十四 | ひび、あかぎれ、あせも、ただれ、うおのめ、たこ、手足のあれ、かさつき等を改善することが目的とされている物 |
二十五 | 医薬品医療機器等法第二条第三項に規定する使用目的のほかに、にきび、肌荒れ、かぶれ、しもやけ等の防止又は皮膚若しくは口腔の殺菌消毒に使用されることも併せて目的とされている物 |
二十六 | 浴用剤 |
二十七 | 第六号、第十二号又は第十六号に掲げる物のうち、いずれか二以上に該当するもの |
2. 表示・広告
表示について
医薬部外品の種類の表示
化粧品と違って医薬部外品はその目的や種類に応じて区分があり、医薬部外品製品の直接の容器または直接の被包に下記の表示をしなければなりません。
用途 | 表示 |
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第1号医薬部外品 | 「医薬部外品」 |
第2号医薬部外品 | 「防除用医薬部外品」 人体に使用されないものについて「注意-人体に使用しないこと」 |
第3号医薬部外品 | 指定医薬部外品について「指定医薬部外品」 それ以外について「医薬部外品」 |
名称・内容量等の表示
上記、医薬部外品の種類の表示に加えて、下記項目を邦文で表示することが義務付けられています。
表示項目 | 解説 |
---|---|
製造販売業者(製造販売業者の氏名又は名称及び住所) | 氏名又は名称: 個人で許可=個人名 法人で許可=法人名 住所: 総括製造販売責任者がその業務を行う事務所の所在地 |
名称 | 「製造販売承認」を受けたで製品の名称 一般的名称があるものについては、その一般的名称 |
製造番号又は製造記号 | ロット番号 |
重量、容量又は個数等の内容量 | 製品1個あたり中に含まれる内容量を重量、容量又は個数等で記載 ・容器その他包装材料は内容量に含めない ・最少量または平均量/明記されていない場合は平均量とみなす。 |
厚生労働大臣の指定する医薬部外品にあっては有効成分の名称(一般的名称があるものにあつては、その一般的名称)及びその分量 | 対象:防除用医薬部外品、指定医薬部外品 |
厚生労働大臣の指定する成分を含有する医薬部外品にあつては、その成分の名称 | 下記参照(別表1) |
厚生労働大臣の指定する医薬部外品にあつては、その使用の期限 | 下記参照(別表2) |
薬機法第42条第2項の規定によりその基準が定められた医薬部外品にあっては、その基準において定められた事項 | 現時点で定められたものはありません |
外国特例承認取得者等の氏名等 | 薬機法第19条の2第1項の規定による承認を受けた医薬部外品 |
厚生労働大臣の指定する成分を含有する医薬部外品にあつては、その成分の名称
この規定はユーザーが医師からの情報をもとにアレルギー等の皮膚障害を起こすおそれがある医薬部外品の使用を自ら回避することを目的としてします。
これら対象成分が複数含まれる場合などの対応についても規定されていますが、内容があまりに細かいので都度確認が必要です。
厚生労働大臣の指定する医薬部外品にあつては、その使用の期限
使用の期限を記載しなければならない医薬部外品として、次が指定されています。
次に掲げる事項は記載が禁止されています。
- 当該医薬部外品に関し虚偽又は誤解を招くおそれのある事項
- 承認を受けていない効能又は効果
- 保健衛生上危険がある用法、用量又は使用期間
広告について
医薬部外品の広告は、薬機法第 66 条により規制されています。また、その具体的解釈として厚生労働省より医薬品等適正広告基準(平成 29 年 9 月 29 日薬生発0929 第 4 号)が通知されています。
医薬部外品は医薬品に準ずるものとして、十分取り扱いに注意しなければなりません。ユーザーが誤解を招くような広告表現について極めて細かく薬機法その他法律・規則等で規制されています。概略について以下に列挙していますが、実際の宣伝・広告活動の際はこれらルールに精通している専門家の意見を取り入れることで事業主・ユーザー双方の安心・安全につながります。
なお、広告に関するルール、特に薬機法第 66 条は「何人」に対しても適用されるものです。製造販売業者、販売業者に限定されるものではなく、依頼を受けて広告を行った新聞・出版社、テレビ・ラジオ放送局等も適用対象です。
- 製造方法、効能効果、安全性ついて誤解を招くような販売名の禁止
- 製造方法について過度に称讃する表現の禁止
- 効能効果、性能、安全性を保証する表現の禁止
・具体的な効能効果、安全性を摘示して、それが確実である保証をするような表現
・製品使用体験談等を用いてユーザーに対して効能効果、安全性について誤解を招きうる表現
・製品使用前後の写真等の使用して効能効果、安全性について誤解を招きうる表現
・一般ユーザーに対する臨床データや実験例を表示 - 過量消費又は乱用助長を促すおそれのある広告の制限
- 他社製品の誹謗広告の制限
- 医薬関係者等の推薦表現の禁止
- 懸賞、賞品等による広告の制限
- 不快、迷惑、不安又は恐怖を与えるおそれのある広告の制限
広告などでは化粧品と医薬部外品の効能効果の逸脱に注意 薬機法では、化粧品と医薬部外品を明確に定義づけて分類しており、それぞれ記載できる効能効果の範囲が異なります。定められた効能効果の範囲を超えた表現を使用して広告や宣伝をした場合は、[…]
【薬事三役】 総括製造販売責任者・安全管理責任者・品質保証責任者 薬機法第17条において、医薬部外品や化粧品の製造販売業許可を取得する上で絶対に必要なこととして総括製造販売責任者の設置が規定されています。まずは総括製造販売責任者の要[…]

―記事を書いたのは私です―
行政書士あくろ事務所 代表
川戸 勇士
東大大学院博士課程修了/行政書士・薬剤師・博士(薬学)
薬・医療・国際化をキーワードとする許認可手続きを業務の柱として、すべての人が健康で豊かな暮らしを実現できる社会を目指しています。
レモンサワー・とり天・うなぎが大好物。
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