医薬部外品の製造販売承認~承認取得のための検討~
国内で製造した医薬部外品あるいは海外から輸入した医薬部外品を販売・授与する(市場に出荷する)ためには、通常、いずれの場合も医薬部外品製造販売業許可及び医薬部外品製造業許可(登録)を取得しなければなりません。さらに、これらの許可(登録)のほかに、原則、取り扱う品目ごとに「医薬部外品製造販売承認」を取得する必要があります。承認では、製造販売される医薬部外品が、品質や有効性、安全性等の観点から、医薬部外品として適当であるかが判断されます。
なお、承認申請は、厚生労働大臣に対して行う場合と、都道府県知事に対して行う場合があります。
1. 製品は薬機法上「医薬部外品」であるか? 定義に合致しているかの確認
まず、申請する品目が医薬部外品に該当するのかを確認します(参照;医薬部外品の定義~そもそも医薬部外品とは~)。製造販売承認審査では、申請者が製造販売を行おうとする製品の成分や効果等について、医薬部外品として妥当かどうかが判断されます。すなわち、目的としている効能効果等が医薬部外品の範囲を逸脱している(外れてしまっている)場合は承認されません。
2. 製品を製造販売するための体制は整っているか? 許可取得済みであることの確認
次の条件に合致していなければ、医薬部外品製造販売承認は与えられません。
- 承認申請者が、製造販売業許可を受けていること。
- 申請品目の製品を製造する製造所が、製造業許可又は認定を受けていること。
- 申請に係る医薬部外品の名称、成分、分量、構造、用法、用量、使用方法、効能、効果、性能、副作用その他の品質、有効性及び安全性の審査の結果、その物が次の(ア)から(ウ)までのいずれにも該当しないこと。
- (ア)申請に係る医薬部外品がその申請に係る効能、効果又は性能を有すると認められない。
- (イ)申請に係る医薬部外品がその効能、効果又は性能に比して著しく有害な作用を有することにより、医薬部外品として使用価値がないと認められる。
- (ウ)(ア)又は(イ)に掲げる場合のほか、医薬部外品として不適当なものとして厚生労働省令に定める場合に該当する。
- 申請に係る医薬部外品が政令で定めるものであるときは、その物の製造所における製造管理又は品質管理の方法が、厚生労働省令で定める基準に適合していると認められること。
ここで、④の政令で定めるものというのは、いわゆるGMP適用医薬部外品(医薬品と同等の規制がなされている医薬部外品)のことであり、法施行令第20条第2項の規定に基づき製造管理又は品質管理に注意を要するものとして厚生労働大臣が指定する医薬部外品を指します。
3. どこに承認申請するか? 申請の提出先
- 厚生労働大臣権限にもとづく承認申請 ⇒ PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器綜合機構)
- 都道府県知事に委任されている承認申請 ⇒ 申請者の住所地(法人の場合、主たる事務所所在地≒医薬部外品製造販売業許可を得ている事業所所在地)の都道府県に提出
都道府県知事に承認申請が委任されている医薬部外品の品目
次の品目については承認基準が制定されており、申請品目がその基準の範囲内に該当する場合、医薬部外品製造販売業許可を取得した所在地の都道府県で審査を行います。当然ですが、基準の範囲から外れた品目についてはPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)で審査が行われます。
- 生理処理用品
- 染毛剤
- パーマネント・ウェーブ用剤
- 薬用はみがき類
- 健胃清涼剤
- ビタミン剤
- あせも・ただれ用剤
- うおのめ・たこ用剤
- かさつき・あれ用剤
- カルシウム剤
- 喉清涼剤
- ビタミン含有保健剤
- ひび・あかぎれ用剤
- 浴用剤
⑦~⑭は平成24年6月1日から適用
4. 承認申請に必要な資料は? 申請区分と添付資料
繰り返しになりますが、承認とは薬機法の規定にもとづいて申請者の製造販売しようとするものが、品質、有効性及び安全性等の観点から医薬部外品として適当であるかの確認を行います。したがって、製品へ配合される成分・分量、効能・効果等によって、承認申請に区分分けがなされており、区分に応じて必要となる添付資料の種類も異なります。
医薬部外品の申請区分
医薬部外品の申請区分は、大きく分けると区分(1)から(5)の5つです。区分(2)と区分(5)が次のようにさらに細かく分かれています。
申請区分 | 定義 |
---|---|
区分(1) 新有効成分含有医薬部外品 | すでに承認済みの医薬部外品と有効成分が異なる、適用方法が明らかに異なる場合 |
区分(2)ー1 新効能医薬部外品 | すでに承認済みの医薬部外品と有効成分は同一であるが、効能・効果が異なる場合 |
区分(2)ー2 新剤形医薬部外品 | すでに承認済みの医薬部外品と有効成分は同一であるが、剤形が異なる場合 |
区分(2)ー3 新含量医薬部外品 | すでに承認済みの医薬部外品と有効成分は同一であるが、配合量が異なる場合 |
区分(2)ー4 新配合医薬部外品 | すでに承認済みの医薬部外品と有効成分と配合量は同一であるが、有効成分の組み合わせが異なる場合 |
区分(2)ー5 新用法医薬部外品 | すでに承認済みの医薬部外品と有効成分は同一であるが、用法が異なる場合 |
区分(3) 新添加物含有医薬部外品 | 使用前例のない添加物を配合する、既使用でも前例を上回る使用量を配合する場合 |
区分(4) 類似医薬部外品 | すでに承認済みの医薬部外品と同一ではないが、新たに有効性や安全性に関する試験をしなくても、承認済みの品目と同一相当の、有効性・安全性があると判断できる場合 |
区分(5)ー1 同一医薬部外品 | すでに承認済みの医薬部外品と比較して、有効成分の組み合わせ、効能・効果、用法・用量、剤形が同一の場合。 |
区分(5)ー2 新指定医薬部外品 | 薬機法第2条第2項第3号の規定に基づく指定医薬部外品(厚告25; 指定告示)の(1)、(13)、(15)、(19)、(20)及び(24)に掲げる医薬部外品 |
区分(5)ー3 新範囲医薬部外品 | 薬機法第2条第2項第3号の規定に基づく指定医薬部外品(厚告25; 指定告示)の(2)、(4)~(12)、(14)、(16)、(22)、(23)及び(27)に掲げる医薬部外品 |
薬機法第2条第2項第3号の規定に基づく指定医薬部外品(厚告25; 指定告示)はコチラから
医薬部外品の承認申請書に添付する資料
大きく分けると以下の5つがあり、それぞれについてさらに細かく資料の内容が定められています。例えば、④安全性に関する資料については、単回投与毒性に関する資料、反復投与毒性に関する資料、遺伝毒性に関する資料、がん原性に関する資料、・・・・など11種あります。もちろん、区分ごとに必要・不要となる添付書類あり、都度確認が必要です。
- 起源又は発見の経緯及び外国における使用状況等に関する資料
- 物理的科学的性質並びに規格及び試験方法等に関する資料
- 安定性に関する資料
- 安全性に関する資料
- 効能又は効果に関する資料
5. 製造販売承認が拒否される場合とは?
次の場合には承認が与えられません。ここに挙げている以外にも個別の判断によって承認が与えられない場合があります。例えば、医薬部外品の名称、形状等が医薬品や食品等の誤用を招く恐れがある場合や、添付資料に不備があり、相当の期間内にその不備が補正されない場合、あるいは添付文書に虚偽がある場合などです。
- 申請された医薬部外品が、効能又は効果を有すると認められない場合
- 申請された医薬部外品が、効能又は効果に比して著しく有害な作用を有することにより、医薬部外品としての使用価値がないと認められる場合
- 申請された医薬部外品の性状又は品質が保健衛生上著しく不適当な場合
6. 製造販売承認に要する時間は? 標準的事務処理期間
PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)が承認申請書を受理した日から厚生労働大臣が当該医薬部外品等に承認を与える日までの期間を標準的事務処理期間と呼びます。
医薬部外品4.5ヵ月(目標値)と定められています。ただし、余裕をみて6カ月程度をみておく方が安心です。
なお、承認権限が都道府県知事に委任されている品目の標準的処理期間は各都道府県において定めれられています。知事権限の場合でも概ね3カ月程度を要します。

―記事を書いたのは私です―
行政書士あくろ事務所 代表
川戸 勇士
東大大学院博士課程修了/行政書士・薬剤師・博士(薬学)
薬・医療・国際化をキーワードとする許認可手続きを業務の柱として、すべての人が健康で豊かな暮らしを実現できる社会を目指しています。
レモンサワー・とり天・うなぎが大好物。
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