化粧品製造販売業②~許可要件~
次の3つの要件を満たさなければなりません。
- 人的要件(申請者及び総括製造販売責任者)
- GQP省令(品質管理基準)への適合
- GVP省令(製造販売安全管理基準)への適合
1.人的要件
製造販売業者は、取り扱う製品の品質管理のみならず製造販売後(市場に流通した製品)の安全管理も実施しまうす。これらの責任を担うため、品質管理部門に「品質管理責任者」、安全管理部門に「安全管理責任者」を配置し、これらの業務を統括するものとして「総括製造販売責任者」の設置が義務付けられています。
総括製造販売責任者
化粧品の総括製造販売責任者の資格については、以下のいずれかに該当する者です。総括製造販売責任者の設置は化粧品製造販売業許可の取得に必須です。薬剤師を確保できない場合、理系大卒者(2番の要件)をあてるのが一般的です。
- 薬剤師
- 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する専門の課程を修了した者
- 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する科目を修得した後、医薬品、医薬部外品又は化粧品の品質管理又は製造販売後安全管理に関する業務に三年以上従事した者
- 厚生労働大臣が前三号に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者
2番と3番がわかりづらいですね。
1番・・・薬剤師免許があればよく、実務経験は不要です。
2番・・・工業高校等の化学専門課程卒業か、大学で化学系の単位を12単位以上習得している者です。薬学部や理学部だけでなく、いわゆる理系学部と言われる学部学科卒であればまず該当します。
3番・・・高校(普通科でもOK)や大学文系学部(教養課程など)で化学を履修していればOKです。「職歴3年以上」化粧品製造販売業者における品質管理業務や製造販売後安全管理業務を3年以上の意味であり、化粧品売り場で働いていた、などは該当しません。
4番・・・医薬品又は高度管理医療機器、又は管理医療機器の総括製造販売責任者を経験した者です。大多数の総括製造販売責任者が1番から3番の要件に該当するため、製造販売業許可の新規取得を検討する方々は基本的に考慮する必要はありません。
品質保証責任者
GQP省令に基づいて設置される、市場に出荷される製品の適正な品質を確保する責任者です。化粧品の品質保証責任者の資格については、以下の通りです。総括製造販売責任者と異なり、学歴や職務経歴などは必要ありません。
・品質管理業務を適性かつ円滑に遂行しうる能力を有する者であること(かつ)
・化粧品の販売に係る部門に属する者でないことその他品質管理業務の適性かつ円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがない者であること
安全管理責任者の設置
GVP省令に基づいて設置される、市販後(ユーザーの手元に渡った)製品の情報収集や検討、安全対策を行う責任者です。化粧品の安全管理責任者の資格については、以下の通りです。総括製造販売責任者と異なり、学歴や職務経歴などは必要ありません。
・安全確保業務を適性かつ円滑に遂行しうる能力を有する者であること(かつ)
・化粧品の販売に係る部門に属する者でないことその他安全確保業務の適性かつ円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがない者であること
上記の総括製造販売責任者、品質保証責任者及び安全管理責任者を薬事三役と呼ぶこともあります。薬事三役は、同一所在地に勤務するものであって、それぞれの業務に支障を来さない等、兼務をすることに合理性がある範囲において、一人が兼務可能です。
2. GQP省令への適合
「GQP=医薬品等の品質管理の方法に関する基準」
化粧品の製造販売をするに当たり必要な製品の品質を確保するために行う、医薬品等の市場への出荷管理、製造業者・外国製造業者、その他製造に関係する業務(試験検査等を含む)を行う者に対する管理監督、品質等に関する情報及び品質不良等の処理、回収処理その他製品の品質の管理に必要な業務等について規定しています。
平たく言えば、工場が製造管理や品質管理を正しく行っているかをチェックするための基準です。
具体的には、以下の内容に関する文書作成が必要です。許可取得後は、作成した手順書に基づき製造管理及び品質管理を行い、必要な記録を残さなければなりません。
- 市場への出荷に係る記録の作成に関する手順
- 適正な製造管理及び品質管理の確保に関する手順
- 品質等に関する情報及び品質不良等の処理に関する手順
- 回収処理に関する手順
- 文書及び記録の管理に関する手順
- その他必要な品質管理業務に関する手順
3. GVP省令への適合
「GVP=医薬品等の製造販売後安全管理に関する基準」
化粧品の製造販売をするに当たり、必要な製造販売後安全管理として、安全管理情報(医薬品等の品質・有効性・安全性に関する事項、その他医薬品等の適正な使用のための情報)の収集、検討、手順書等に基づく安全確保措置の実施等について規定しています。
平たく言えば、GVPは副作用や感染症を対象とした安全管理を実施します。GQPでも同様の販売後調査が必要ですがGQPはあくまで品質不良等について行います。
具体的には、以下の内容に関する文書作成が必要です。許可取得後は、作成した手順書に基づき市場へ流通する化粧品の安全管理を行わなければなりません。
- 安全管理情報の収集
- 安全管理情報の検討及びその結果に基づく安全確保措置の立案
- 安全確保措置の実施
- 安全確保業務に係る記録の保存
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―記事を書いたのは私です―
行政書士あくろ事務所 代表
川戸 勇士
東大大学院博士課程修了/行政書士・薬剤師・博士(薬学)
薬・医療・国際化をキーワードとする許認可手続きを業務の柱として、すべての人が健康で豊かな暮らしを実現できる社会を目指しています。
レモンサワー・とり天・うなぎが大好物。
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