在留資格「留学」 留学ビザの概要

はじめに

日本への留学を希望している外国人が在留資格「家族滞在」(家族滞在ビザ)のような身分系在留資格で日本に在留することが可能な場合、必ずしも在留資格「留学」(留学ビザ)を取得する必要はありません。一方で、奨学金制度等の多くが外国人に「留学」の在留資格で在留する者に制度の利用資格を与えているため、留学希望の外国人が第一選択するのは在留資格「留学」です。

対象となる機関

入管法において、”留学”は次のように定義されています。

日本の大学、 高等専門学校、 高等学校( 中等教育学校の後期課程を含む。) 若しくは特別支援学校の高等部、 中学校( 中等教育学校の前期課程を含む。) 若しくは特別支援学校の中学部、 小学校若しくは特別支援学校の小学部、専修学校若しくは各種学校又は設備及び編制に関してこれらに準ずる機関において教育を受ける活動

大学

大学には、大学院や短期大学、大学の別科なども含まれます。ただし、いずれも通信制課程は対象外です。また、大学院を除いて夜間通学によるものは対象外です。大学に準ずる機関としては、水産大学校や防衛大学校などの省庁大学校の一部も対象です。

大学・大学院の研究生・聴講生も留学ビザを取得できます。ただし、聴講による教育を受ける場合には1週間につき10時間以上の聴講が必要です。

高等専門学校

高等専門学校は実践的・創造的技術者を養成することを目的とした高等教育機関であり、いわゆる高専を指します。日本国内に国公私立合わせて57校あり、全体で約6万人の学生が学んでいます。高専も外国人の留学ビザの対象になります。

専修学校

専修学校とは、職業もしくは実際生活に必要な技能を育成し、または教養の向上を図ることを目的とした学校のことで、修業年限は1年以上と定められています。専門課程(専門学校)、高等課程、一般課程の3つの課程があり、いずれの課程も留学ビザの対象となります。

専修学校において留学ビザを取得するためには日本語能力が必要です。日本語教育機関(いわゆる日本語学校)で6ヶ月以上の日本語教育を受けたことがあるか、日本語能力試験による証明が必要です。

  1. 日本語能力試験N2以上
  2. 日本留学試験200点以上
  3. BJTビジネス日本語能力テスト400点以上

各種学校

各種学校は、学校教育に類する教育を行う機関として学校教育法上の認可を受けた学校を言います。大学進学予備校やインターナショナルスクールなどが多く、当該機関が学校教育法上の認可を受けていれば留学ビザの対象になります。

インターナショナルスクールを除く各種学校において留学ビザを取得するためには、専修学校と同様に日本語能力が必要です。日本語教育機関(日本語学校)での6ヶ月以上の学習、、または日本語能力試験での証明が必要です。

日本語教育機関(日本語学校)

専修学校、各種学校、または施設および編成に関して各種学校に準ずる教育機関において、専ら日本語の教育を行う期間です。日本語教育機関に通うための留学ビザを取得するには、当該教育機関が法務大臣の告示(留学告示)によって定められていなければなりません。留学告示に定められていない日本語学校は、留学ビザの対象ではありません。

高等学校

中等教育機関の後期課程(中高一貫校の高等部)や特別支援学校の高等部も留学ビザの対象に含まれます。ただし、定時制や通信制の高等学校は留学ビザの対象外です。原則として20歳以下であり、1年以上の日本語教育を受けていることが必要です。

中学校・小学校

中等教育機関の前期課程(中高一貫校の中等部)や特別支援学校も留学ビザの対象に含まれます。原則として中学校は17歳以下、小学校は14歳以下の方が対象になります。

なお、これら学校においては対象者が低年齢であることから、日本において監護する方がいること、生活指導を担当する常勤職員が置かれていること、日常生活を支障なく営むことができる宿泊施設が確保されていることなどが求められます。日本において監護する者として、本人の在日親族、寄宿舎の寮母さん、ホームステイ先のホストファミリーなどが想定されます。

在留資格「留学」 留学ビザの概要

審査ポイント

在留資格「留学」(留学ビザ)の審査ポイントとして、活動実態経費支弁能力の2点が重要です。

活動実態

留学ビザは就労資格ではありませんので、原則、就労活動ができません。一方で、留学中の生活費や学費を工面するために、資格外活動許可を取得していることを条件に週28時間以内のアルバイトが認められます。この留学ビザの資格外活動許可制度を悪用し、留学ビザを取得して来日したにもかかわらず実際には学校等に出席しないでアルバイトに専念し、母国へ給与を送金している事例が残念ながら存在します。

これらを厳しく規制するため、週28時間の就労制限をオーバーしている場合や授業への出席率、成績不良などが見られる場合では、留学ビザで許可している活動実態がないと判断されることがあります。他のビザと比較しても、留学ビザは特に在留期間の更新が許可されない事例が格段に多いです。

ご参照ください

はじめに 日本に滞在する外国人は在留資格が与えられており、在留資格の許可の範囲内でのみ活動ができます。「留学ビザ」や「家族滞在ビザ」などの在留資格では、原則して収入・報酬を受ける活動(≒就労)が認められません。一方で、資格外活動許可[…]

資格外活動許可の申請方法

経費支弁能力

留学ビザの要件として、留学中の生活に要する費用を支弁する十分な資産、奨学金その他の手段を有することが定められています。留学中の生活費として具体的には、学費・教材費の他、住居費、交通費、食費、その他一切の生活費が含まれます。自身の貯蓄やアルバイト収入のみで日本国内で生活を続けることはほぼほぼ不可能です。そのため、親族の援助も経費支弁能力として評価されます。例えば、留学中に母国の親の失業等によって仕送りが止まってしまった場合など、経費支弁能力がないと判断されてしまい、在留期間の更新が許可されないことがあります。

在留期間

「留学」の在留期間は細かく区切られ、4年3月、4年、3年3月、3年、2年3月、2年、1年3月、1年、6月または3月と定められています。3ヵ月という区切りが入っているのは、日本以外の国は9月に学校が始まる場合が多く、9月入学を想定しています。

在留資格「留学」 留学ビザの概要

まとめ

在留資格「留学」(留学ビザ)の概要について簡単に紹介しました。

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川戸勇士 静岡県磐田市の行政書士

―記事を書いたのは私です―

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川戸 勇士

東大大学院博士課程修了/行政書士・薬剤師・博士(薬学)
薬・医療・国際化をキーワードとする許認可手続きを業務の柱として、すべての人が健康で豊かな暮らしを実現できる社会を目指しています。
レモンサワー・とり天・うなぎが大好物。


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