技能ビザの概要

はじめに ー技能ビザとはー

技能ビザとは、日本の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人に対して与えられる就労ビザです。「熟練した技能を要する業務」とは、個人が自己の経験の集積で取得した熟練の域にある技能を必要とすることを意味しており、この点で機械的作業である単純労働とは異なります。

語感が似ている就労ビザの一つに「技術・人文知識・国際業務」ビザがあります。「技術・人文知識・国際業務」ビザと「技能」ビザとの区別は、「技術・人文知識・国際業務」ビザが学術上の素養を含める、簡単に言えば勉強したことを実際に技術に応用する業務に従事するのに対して、「技能」ビザは個人が自己の経験・修行によって身に着けた技量・技術を使う業務に従事する点を考えます。

活動内容

「技能」ビザにより日本国内で行うことができる活動については以下のように定められています。

本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動

「日本の公私の機関」

「日本の公私の機関」とは、日本国内にあるほとんどの企業や団体を指します。外国資本や国内資本といった概念ではありませし、勤務先は法人に限らず、自営業者でもかまいません。

また、雇用形態は正社員に限定されませんので、契約社員や派遣社員として雇用することも可能です。

「産業上の特殊な分野」

「産業上の特殊な分野」とは下記が該当します。

  1. 外国特融の産業分野
  2. 日本の水準よりも外国の技能レベルが高い産業分野
  3. 日本において従事する技能者が少ない産業分野

「熟練した技能」

「熟練した技能」とは、個人が自己の経験の集積によって有することとなった熟練の域にある技能を必要とすることを意味し、特別な技能や判断等を必要としない単純労働と区別されます。

技能ビザに該当する職種

上記内容に関して、「技能」ビザに該当する職種はすべて法律で列挙されています。したがって、以下の職業に該当しない場合、「技能」ビザに該当しません。番号は各職業が定められている法律上の号数です(第1号(調理師)、第2号(建築技術者)、など)。

  1. 調理師
  2. 建築技術者
  3. 外国特有製品の製造・修理
  4. 宝石・貴金属・毛皮加工
  5. 動物の調教
  6. 石油・地熱等掘削調査
  7. 航空機操縦士
  8. スポーツ指導者
  9. ワイン鑑定等

要件

報酬要件

日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることが必要です。

業務内容要件および実務要件

第1号 調理師

中国料理、フランス料理、インド料理、タイ料理などの調理師

この職種では10年以上の実務経験が必要です。
※実務経験の年数に外国の学校で職種に関する科目を専攻していた期間を含めることができます。
※タイ料理人の場合、実務経験を5年に短縮できる場合もあります。

第2号 建築技術者

中国式、韓国式、ゴシック方式、、ロマネスク方式、バロック方式などの建建築技術者や土木技術者

この職種では10年以上の実務経験が必要です。
※実務経験の年数に外国の学校で職種に関する科目を専攻していた期間を含めることができます。
※この職種で10年以上の実務経験を持つ外国人の指揮監督下で働く人の場合、実務経験が5年に短縮されます。

第3号 外国特有製品の製造・修理

ペルシア絨毯、ヨーロッパガラス製品、シューフィッターなどの製作者

この職種では10年以上の実務経験が必要です。
※実務経験の年数として外国の学校で職種に関する科目を専攻していた期間を含めることができます。

第4号 宝石・貴金属・毛皮加工

宝石・貴金属・毛皮加工の技能者

この職種では10年以上の実務経験が必要です。
※実務経験の年数として外国の学校で職種に関する科目を専攻していた期間を含めることができます。

第5号 動物の調教

動物の調教者

この職種では10年以上の実務経験が必要です。
※実務経験の年数として外国の学校で職種に関する科目を専攻していた期間を含めることができます。

第6号 石油・地熱等掘削調査

石油探査のための海底掘削、地熱開発のための掘削、または海底鉱物探査のための海底地質調査などの技術者

この職種では10年以上の実務経験が必要です。
※実務経験の年数として外国の学校で職種に関する科目を専攻していた期間を含めることができます。

第7号 航空機操縦士

パイロット

250時間以上の飛行経歴および航空法第2条第18項規定の航空機の操縦者として働くことが必要です。

第8号 スポーツ指導者

スポーツ指導者

この職種では3年以上の実務経験が必要です。
※実務経験年数として、外国の教育機関でそのスポーツの指導に関する科目を専攻した期間と、報酬を受けてそのスポーツに従事していた期間を含めることが出来ます。
※以下に該当する場合は、実務経験が問われることはありません。
・法務大臣が告示をもって定める人
・オリンピックや世界選手権などの国際大会に出場した実績がある人

第9号 ワイン鑑定等

ソムリエ、ワイン鑑定等

この職種では5年以上の実務経験下記3つのいずれかに該当することが必要です。
※この5年の経験には、外国の教育機関でワイン鑑定等に関する科目を専攻した期間を含めることが出来ます。

  1. ワイン鑑定等に係る技能に関する国際的な規模で開催される競技会(以下「国際ソムリエコンクール」という。)において優秀な成績を収めたことがある者
  2. 国際ソムリエコンクール(出場者が一国につき一名に制限されているものに限る。)に出場したことがある者
  3. ワイン鑑定等に係る技能に関して国(外国を含む。)若しくは地方公共団体(外国の地方公共団体を含む。)又はこれらに準ずる公私の機関が認定する資格で法務大臣が告示をもって定めるものを有する者

在留期間

「技能」ビザの在留期間は5年・3年・1年・3ヵ月のいずれです。

まとめ

「技能」ビザについて基本的事項を確認しました。「技能」ビザはその個人の技能や技術を駆使して働く業種をを対象に発行される就労系ビザです。

技能ビザでは該当する職種が法令で具体的に定められていることが特徴であり、それぞれの職種(法の号数)に応じてビザの取得要件が異なります。ご不明な点がございましたら、お気軽に当事務所へご相談ください。静岡県、愛知県を中心に全国47都道府県のお手続きに対応可能です。

ご参照ください

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技能ビザの申請手続き

川戸勇士 静岡県磐田市の行政書士

―記事を書いたのは私です―

行政書士あくろ事務所 代表
川戸 勇士

東大大学院博士課程修了/行政書士・薬剤師・博士(薬学)
薬・医療・国際化をキーワードとする許認可手続きを業務の柱として、すべての人が健康で豊かな暮らしを実現できる社会を目指しています。
レモンサワー・とり天・うなぎが大好物。


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