はじめに
国際結婚手続きは、一方の国の結婚手続きを行えば自動的にパートナーの国での結婚も有効となるわけではなく、基本的に両国において結婚手続きを行う必要があります。さらに、国際結婚をしたカップルが引き続き日本で一緒に暮らす場合は、配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)の取得申請を行い、在留許可を受ける必要があります。
配偶者ビザの申請においては、両方の国での婚姻の成立を証明するため、一般的には
- 日本国での婚姻成立について戸籍謄本(婚姻事実の記載があるもの)
- 外国での婚姻成立について外国の公的機関から発行された結婚(婚姻)証明書
を提出しなければなりません。
日本で先に結婚手続き:結婚(婚姻)証明書を発行してもらえない国がある
両国での結婚手続きはどちらから行っても問題ありません。日本から先に結婚手続きを行った後でパートナーの国で結婚手続きを行う場合、各国の制度上、結婚(婚姻)証明書が発行されない国があります。具体的な国としては、中国、アメリカ、カナダ等です。
中国人との国際結婚
中国人との国際結婚を例として挙げると、日本で先に結婚手続きを完了させると日本の婚姻が中国でも有効とみなされ、中国側での婚姻手続きは不要とされています(実際には中国の戸口簿のステータスを「未婚」から「既婚」に変更する必要があるため、中国での手続きを行うことが一般的)。
そのため、配偶者ビザの申請において原則必要とされる「婚姻相手の国で発行された結婚(婚姻)証明書」が発行されないため、ビザ申請で入管へ提出できないこととなります。しかしながら、結婚証明書があるにこしたことはないですが、入管もこれらの事情を把握しているため、結婚(婚姻)証明書がなくても配偶者ビザの申請が可能なこともあります。
配偶者ビザの申請で事情説明書を添付する
結婚(婚姻)証明書の取得のためとはいえ、必ずしも先にパートナーの国から結婚手続きを行うことができるとは限りません。そのような場合、実務上は結婚(婚姻)証明書が発行されていないこと、取得していないことを明記した「事情説明書」を作成して添付することが望ましいです。説明書の内容としては、下記事項が記載されていれば十分と思われます。パートナーの国で結婚(婚姻)証明書が発行されない場合、「婚姻事実が記載された戸籍謄本」とこの「事情説明書」を提出することでクリアできることが多いです。
- 説明書の作成日
- 申請者情報(記名押印・住所等)
- 大使館・領事館へ事前確認している場合、その回答内容
- 婚姻証明書の代わりに戸籍謄本のみを提出している旨
まとめ
配偶者ビザ申請で必須となる結婚(婚姻)証明書が取得できない場合、対処法について簡単に解説しました。結婚(婚姻)証明書を取得できない旨を説明する書類を別途作成し、添付することで対応可能ですが、必ずしもビザ申請が認められるわけではありません。事前に各国の大使館へ確認するとともに、心配があれば行政書士等の専門家に依頼することが賢明です。
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―記事を書いたのは私です―
行政書士あくろ事務所 代表
川戸 勇士
東大大学院博士課程修了/行政書士・薬剤師・博士(薬学)
薬・医療・国際化をキーワードとする許認可手続きを業務の柱として、すべての人が健康で豊かな暮らしを実現できる社会を目指しています。
レモンサワー・とり天・うなぎが大好物。
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