はじめに
高度外国人材を積極的に日本に呼びよせるための制度が「高度専門職」であるという制度の趣旨からして、「高度専門職」ビザは他の就労ビザ・在留資格と比較して多くの優遇措置が設けられています。主な優遇ポイントは、付与される在留期間、永住許可申請の要件緩和、家族や家事使用人の在留資格などがあります。
簡単にそれぞれを確認していきましょう。
『高度専門職』の優遇措置
複合的な在留活動の許容
多くの就労ビザでは就労ビザごとに認められている活動しか行うことができませんが、「高度専門職」ビザをもつ高度外国人材であれば、たとえば大学での研究活動とあわせて関連企業において経営活動を行うなど、複数の在留資格にまたがるような活動が許されています。
在留期間「5年」の付与
⇒一律「5年」が付与され、更新も可能です
通常、多くの就労ビザの場合では「5年」「3年」「1年」「6ヵ月」等の在留期間があり、外国人在留状況や会社規模に応じて年数が決められます。一方、「高度専門職1号イ・ロ・ハ」ビザでは、最長の在留期間「5年」の就労ビザが会社規模に関わらず一律で付与されます。また、「高度専門職2号」ビザでは無期限の在留許可を得ることができます。
なお、この期間は更新することができます。
在留歴に係る永住要件の緩和
一般的な就労ビザ等の在留資格から永住許可申請を行う場合、申請時までの在留歴が10年以上であることが求められます。一方、高度人材ポイント70点以上では在留歴3年、80点以上では在留歴1年に短縮されます。
70点以上:高度人材として引き続き3年以上の場合に永住許可の対象となる
80点以上:高度人材として引き続き1年以上の場合に永住許可の対象となる
配偶者の就労
例1:
原則として、配偶者としての在留資格をもって在留する外国人が、在留資格「教育」「技術・人文知識・国際業務」などに該当する活動を行う場合には、学歴・職歴などの一定の要件を満たした上でこれらの在留資格を取得する必要があります。
一方、「高度専門職」で在留する者と同居し、かつ日本人と同等額以上の報酬を受けることを要件として、これらの在留資格に該当する活動を「特定活動」の在留資格の範囲内で行うことができます。
例2:
通常、外国人の配偶者は「家族滞在」ビザを取得しますが「家族滞在」ビザで就労するためには資格外活動許可を別途取得する必要があります。また、資格外活動許可を得たとしても、週28時間以内という就労制限があります。一方、「高度専門職」ビザを持つ外国人の配偶者は、学歴・職歴要件無関係にフルタイムで就労可能です。
一定条件の下での親の帯同の許容
現行制度では、原則、就労ビザで在留する外国人の親の受け入れは認められていません。一方、高度外国人材の親、高度外国人材の配偶者の親であれば一定の要件が満たされれば、「特定活動」ビザでの在留が認められます。
一定の条件は以下の通りです。
- 7歳未満の子(養子を含む)を育てる場合
- 妊娠中の配偶者または本人の介助等を行う場合
- 世帯年収が800万円以上あること
一定条件の下での家事使用人の帯同の許容
高度人材の世帯年収が1,000万円以上で、家事使用人の月給が20万円以上などの要件を満たせば、家事使用人について「特定活動」ビザでの在留が認められます。
入国・在留手続きの優先処理
通常の就労ビザでは出入国在留管理局での審査の期間は1ヶ月から3ヶ月を要します。一方、「高度専門職」ビザの在留資格認定証明書交付申請では10日以内、在留資格変更許可申請では5日以内で処理されます。
まとめ
「高度専門職」ビザの優遇措置について解説しました。ビザ申請では制度の概要把握や必要書類の正確な理解が必要です。ご不安やご不明な点がございましたら、お気軽に当事務所へご相談ください。入管申請手続きの専門家である当事務所が責任をもって手続き完了までサポートいたします。
ご不明な点がございましたら、お気軽に当事務所へご相談ください。静岡県、愛知県を中心に全国47都道府県のお手続きに対応可能です。
はじめに 「高度専門職」ビザとは、特に日本の経済成長やイノベーションへの貢献が期待される能力や資質に優れた人材(高度外国人材)を対象とする在留資格です。「高度専門職」ビザで認められる活動はいくつかカテゴリーがあり、それぞれ「高度専門[…]
はじめに 少子高齢化の影響で多くの日本企業が人材不足に悩まされている中、優秀な外国人材の争奪戦に日本は世界から大きく出遅れています。政府は、高度外国人材の受け入れを促進するための国策として2012年より「高度人材ポイント制」を導入し[…]
企業のカテゴリー分類とは 高度専門職ビザの申請においては、入管が申請書類の一部を省略しても差し支えないと認める場合があります。実務上、受け入れ企業の規模に応じてカテゴリー分けがされており、カテゴリーごとに必要とされる資料や書類に差が[…]
―記事を書いたのは私です―
行政書士あくろ事務所 代表
川戸 勇士
東大大学院博士課程修了/行政書士・薬剤師・博士(薬学)
薬・医療・国際化をキーワードとする許認可手続きを業務の柱として、すべての人が健康で豊かな暮らしを実現できる社会を目指しています。
レモンサワー・とり天・うなぎが大好物。
静岡県、愛知県を中心に全国47都道府県で外国人サポート、入管業務代行、ビザ申請対応可能!
メールでのお問い合わせは下記フォームをご利用ください
必要事項をご入力の上、送信ボタンをクリックしてください。メールは24時間受け付けております。
お問い合わせフォーム送信後、自動で受付メールを返信いたします。
受付メールが届かない場合は、別のメールアドレスをご使用いただくか、お急ぎの場合は下記の電話番号までご連絡ください。
行政書士あくろ事務所 事務局
TEL: 050-3559-8924
【お電話受付時間】 9:00~17:30 (土・日・祝日は除く)