前提知識~外国人配偶者がすでに日本にいるのか、これから日本に呼び寄せるのか~
国際結婚の手続きを完了後、夫婦そろって日本で生活できるようにするためには配偶者ビザ(正確には日本人の配偶者等の在留資格)の取得が必要です。配偶者ビザの申請には大きく分けて下記の2パターンあります。
このページでは①の外国人配偶者がすでに中長期の在留資格(就労ビザや留学ビザ)を持って日本にいる場合に日本で夫婦そろって暮らすための手続き、すなわち配偶者ビザへの「在留資格変更許可申請」について説明します。②の外国人配偶者をこれから日本に呼び寄せる場合は、配偶者ビザを取得するための在留資格認定証明書交付申請を行います。これについては下記を参照してください。
前提知識~外国人配偶者がすでに日本にいるのか、これから日本に呼び寄せるのか~ 国際結婚の手続きを完了しても夫婦そろって日本で生活できるようにするためには配偶者ビザの取得が必要です。配偶者ビザの申請には大きく分けて下記の2パターンあり[…]
配偶者ビザへの変更 ー在留資格変更許可申請ー
国際結婚手続きを無事に済ませた後、外国人配偶者がすでに中長期の在留資格、典型例としては就労ビザとか留学ビザを持っている場合、在留資格を配偶者ビザに変更するため、「在留資格変更許可申請」を行います。就労ビザや留学ビザは結婚していようがしていまいが、それ自体が正当な在留資格ですので、一般の方々の疑問関心としては「配偶者ビザへの変更が必須かどうか」だと思われます。以下に、各種中長期ビザ別の配偶者ビザへの変更の必要性について簡単にまとめます。
就労ビザからの変更
就労系在留資格「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「経営・管理」など
外国人配偶者が就労ビザ、すわなち就労系在留資格「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「経営・管理」、その他「高度専門職」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」、「教育」などすでに持って日本で生活している場合、国際結婚をした後に必ずしも配偶者ビザへ変更する必要はありません。
一方、上記の就労ビザは特定の業務に限ってそれぞれに与えらえれる業務限定就労可能資格です。職種が変わるとビザが取り消されます。したがって、就労ビザで働いていて、結婚後に仕事を辞め(る)た場合、パート・アルバイトで働く場合、出産・育児に専念する場合、必ず配偶者ビザに変更しなければなりません。配偶者ビザへ変更するメリットの一つは、就労制限がなく自由に職種を選択できる点です。もちろん、専業主夫・主婦のように就労しなくてもかまいません。
少しややこしいですが、配偶者ビザに変更しない方が良い場合もあります。
日本人と結婚している外国人は、通常よりも永住権が申請しやすくなっています。
永住権申請の主な要件として、
- 3年ビザ(在留期間3年)以上をもっている
- 結婚後の同居生活が3年以上継続している
- 日本継続在留が1年以上である など
が求められます。配偶者ビザへ変更した場合、初回申請で許可される在留期間はほとんどの場合1年です。したがって、外国人配偶者が就労ビザ等ですでに3年以上のビザをもっているのであれば、結婚後すぐに配偶者ビザに変更するのではなく、将来的な永住許可申請のことを踏まえた上でどうするかを判断するとよいでしょう。
技能実習ビザからの変更
日本人と結婚した技能実習生が技能実習期間修了後も日本で暮らしたい場合、技能実習ビザ(在留資格「技能実習」)を配偶者ビザに変更できるのでしょうか。原則、変更はできません。技能実習ビザは制度の趣旨からして、期限を満了したら一旦帰国し、日本で学んだ技術・技能を母国で生かす仕事に就くことを前提としています。
ただし、特別な事情がある場合には変更許可が下りる可能性があります。例えば、実習生が妊娠している場合などです。入管申請において事前に確認するなどして、手続きを行うことで配偶者ビザへの在留資変更が認められることもありますがハードルは極めて高いです。そのため、本国に帰国してから通常通りの手順を踏む、すなわち、在留資格認定証明書交付申請から手続きを行う方がスムーズな場合が多いです。
特定技能ビザからの変更
上記の技能実習ビザと語感が似ているので混同されやすいですが、特定技能ビザ(在留資格「特定技能」)で働いている外国人と日本人が結婚した場合、外国人配偶者は本国に帰国する必要はなく、配偶者ビザに在留資格を変更することが可能です。とくに、特定技能1号は在留期間が通算で5年に達した時点からは在留期間の更新が認められませんので、配偶者ビザに変更する方がメリットが多いと思います。
留学ビザからの変更
留学ビザを持っている外国人が日本人と結婚した後、引き続き日本で暮らす場合、卒業後に必ず配偶者ビザに変更しなければなりません。なお、卒業後の就職先が決まっている場合は就労ビザへの変更でもかまいません。ただし、就労ビザが特定の業務に限ってそれぞれに与えらえれる業務限定の在留資格であるのに対して、配偶者ビザは就労制限がなく、職種・雇用形態を問いません。専業主夫・主婦でもかまいません。
ただし、留学ビザはあくまでも勉学に励むための在留資格です。留学生本人の学校への出席率が悪い、学校を退学しているなど、制度の趣旨から外れた状況にあっては在留資格変更が認めらない可能性もあります。
家族滞在ビザからの変更
家族滞在ビザ(在留資格「家族滞在」)で日本に住む外国人が日本人と結婚した場合は、結婚後は必ず配偶者ビザに変更しなければなりません。
配偶者ビザへの変更の審査について
必要書類
- 在留資格変更許可申請書 1通
- 写真(縦4cm×横3cm) 1葉
- 日本人配偶者の戸籍謄本 1通
※申請人との婚姻事実の記載があるもの。婚姻事実の記載がない場合は、戸籍謄本に加え婚姻届出受理証明書を提出 - 外国人配偶者の母国機関から発行された結婚証明書 1通
- 日本人配偶者の住民税の課税証明書および納税証明書 各1通
- 身元保証書 1通
※身元保証人は、日本に居住する日本人配偶者です - 日本人配偶者の住民票 1通
- 質問書 1通 質問書(交際の経緯)とは?
- スナップ写真
- パスポートと在留カード
※官公署からの証明書類は発行から3ヵ月以内のものを用意します。
特例期間について
配偶者ビザへの変更許可審査は2~3ヵ月、場合によってはそれ以上要します。すでに持っている在留期間の満了日を確認し、余裕をもって変更許可申請を行うことが必要です。一方、在留期間の満了日までに審査結果が出ない場合でも、申請人は許可または不許可が下りる日、または在留期間満了日から2ヵ月以内であれば在留できます。適法に在留資格申請を行っている限り、オーバーステイ(不法滞在)とはならないので安心して申請できます。
在留資格変更が不許可となった場合はどうなるのでしょうか。その場合、残念ながら日本から出国しなければなりません。流れとしては以下の通りです。まず、申請人(外国人配偶者)は入管に出頭します。そこで、審査官より出国の意思を確認されますので、出国することを伝えます。これにより、短期滞在ビザ(在留資格「特定活動(出国準備期間))が与えられますので、期限内に適法な状態で出国します。
在留資格変更が不許可になった場合に再申請を希望する場合、どのような手続きが必要になるかについては申請人の状況により異なりますので、入管に事前確認が必要です。
まとめ
現在すでに持っている在留資格から配偶者ビザへ変更する場合、変更の可否や変更の必要性について簡単に紹介しました。ビザの種類や残りの在留期間などによって各々最善の方法が異なる場合が多いので、不明な点やご不安がございましたら一度当事務所にお問い合わせくださいませ。
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―記事を書いたのは私です―
行政書士あくろ事務所 代表
川戸 勇士
東大大学院博士課程修了/行政書士・薬剤師・博士(薬学)
薬・医療・国際化をキーワードとする許認可手続きを業務の柱として、すべての人が健康で豊かな暮らしを実現できる社会を目指しています。
レモンサワー・とり天・うなぎが大好物。
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