不許可となった場合の選択肢
配偶者ビザが不許可になった場合に再申請を行う上での注意点について紹介しますが、まずは不許可となった場合に考えられる選択肢をここで整理しておきましょう。
配偶者ビザの再申請を考える
配偶者ビザの申請の結果、残念ながら不許可となると他の正当な在留資格がない限り基本的に日本にいることはできません。不許可の場合、通常であれば申請者は入管へ出頭しなければなりません。その後の手続きについては申請の種類(新規・更新、変更など)に応じて異なりますが、外国人配偶者がすでに日本にいる場合であって残された在留期間が少ない、あるいは過ぎているような場合には、短期滞在ビザ(在留資格「特定活動(出国準備期間)」)が与えられます。期限内に出国しなければオーバーステイ(不法滞在)となります。外国人配偶者がまだ海外にいる場合は、少なくとも日本に呼び寄せることがかなり先延ばしされることになります。
入管へ出頭した際には、面談にて不許可の理由が伝えられます。もし、再申請を考えるのであれば必ずすべての不許可理由を確認し、何を修正・補完することができれば許可される可能性があるかを確認しなければなりません。
他の在留資格・ビザ申請ができないか考える
就労ビザなどの中長期在留資格から配偶者ビザへの申請が不許可となった場合、もともとの就労ビザの更新ができないかを考えることも選択肢の一つです。また、留学ビザを持っていて卒業を控えている場合や外国人配偶者がいまはまだ海外で暮らしている場合など、新規に就労ビザを取得できないかを考えることもできます。配偶者ビザが許可されなかったことから、申請者ないし申請書類等に何らかの不許可判断事由があるのは確かです。他のビザだからといって必ずしも許可が得られるとは限りませんが、要件が整えば選択肢の一つとして考えるのもよいでしょう。
海外で暮らすことを考える
配偶者ビザや他種類のビザも取得許可が得られなかった場合、日本で一緒に暮らすことができません。一緒に暮らすことを最優先するのであれば、日本人配偶者が外国人配偶者側が定めるビザを取得し、海外(外国人配偶者の母国)で暮らすことが選択肢としてあります。
再申請での注意点やデメリット
不許可になった原因を修正したり改善したりすることができれば、再申請で許可されることは十分考えれらます。ただし、再申請では初回申請と比較して審査期間が長く、取得難易度が高いことに注意しなければなりません
審査期間が長い
近年多発している偽装結婚による不法入国・不法滞在を事前に防ぐため、そもそも配偶者ビザの審査は非常に厳しく、審査期間は長くなっています。再申請においては、それ以上の期間が必要となることがほとんどです。いつまでたっても海外にいる夫/妻を日本に呼べないという事態になりかねません。
取得難易度が高い
当然ですが、夫婦が置かれている状況が初回申請時と再申請時で劇的に変わることは考えられません。不許可原因がわかったからといって、申請内容が大きく変わることは通常ないため、入管は書類の”てにをは”を書きかえただけと判断し、実態は同じであると考えて審査するといっても過言ではありません。再申請ではこれらの点をクリアした書類や資料を入念に準備せねばならず、再申請で許可を得るのはより難しくなります。このため、不許可からの再申請を行政書士などに依頼する場合、通常追加費用がかかります。
不許可の理由を確認
不許可理由通知書や面談
不許可・不交付通知書に理由は記載されますが、法律に詳しい専門家でないと何が書いているのかわからないことが多いです。上でも述べましたが、入管は不許可処分とした申請に対して面談にて理由を説明してくれます。一度しか説明してもらえません。また、入管は丁寧に一からすべての理由を説明する義務があるわけではないので、こちらが聞かないと対応してくれません。不明な点はすべて聞きましょう。
典型的な不許可理由
不許可となってしまう理由は大きくわけて、結婚の信ぴょう性がない、日本で暮らしていける経済的基盤が弱い、過去の素行が悪い、のいずれかです。
信ぴょう性がない
交際期間が短い、実際に会った回数が少ない、年齢差が大きい、日本人配偶者が外国人と離婚歴がある、外国人配偶者が日本人と離婚歴がある、SNSで知り合う、など、出会った経緯から交際に至り、結婚するまでの経緯に偽装結婚で多い事例が該当していると不許可リスクが高くなります。もちろん、説得力をもって正当性を説明できれば上記のような事情があっても許可される可能性は十分にあります。
経済的基盤が弱い
入管は課税証明書に記載された給与収入から申請者の収入を判断します。収入が〇百万円以上であれば必ず許可されるというラインはなく、逆に収入が低いからと言って必ず不許可になるわけではありません。しかしながら、不許可理由として収入の低さが挙げられているのであれば、現在の資産状況や両親・親族からの支援の有無などを説明したり、現在求職中であれば就職見込み等を説明したりして、入管を納得させる必要があります。
素行が悪い
こればかりは改善や説明だけでは難しいです。過去の税金滞納歴や犯罪歴、不法就労等がある場合、許可取得が極めて困難となります。審査が長くなり、場合によっては数年がかりになる場合もありますが、再申請を考えるのであれば、今後日本で暮らしていくための正当性を根気よく立証し続けるしかありません。
再申請にチャレンジ
不許可理由を確認したら、申請書類を修正・補完等で改善し、再申請チャレンジします。不許可理由をもとに申請書類が明確に改善されていなければ再申請しても結果は同じく不許可です。書類を改善することに集中するあまり、前回申請内容と矛盾が生じている書類を作成してしまう方もいます。この場合、まず間違いなく不許可です。最善の注意を払って資料の準備をしてください。
まとめ
配偶者ビザの再申請は初回申請よりも審査が厳しく、取得難易度があがります。申請書類を直そうとしても具体的にどのように改善すればよいのか判断がつかない場合も多いです。確実に許可を得て安心して夫婦で暮らせるようにするためにも、当事務所のようなビザ申請の専門知識もった行政書士事務所にご相談されることをおすすめします。
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―記事を書いたのは私です―
行政書士あくろ事務所 代表
川戸 勇士
東大大学院博士課程修了/行政書士・薬剤師・博士(薬学)
薬・医療・国際化をキーワードとする許認可手続きを業務の柱として、すべての人が健康で豊かな暮らしを実現できる社会を目指しています。
レモンサワー・とり天・うなぎが大好物。
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