配偶者ビザ申請が不許可となる典型例
配偶者ビザは偽装結婚等を通じて外国人の不法滞在の手段となりやすく、特に審査が厳しい在留資格です。そのため、入管による審査は偽装結婚を前提に行われているといっても過言ではありません。不許可となりやすい事例を確認することで、入管に結婚の正当性を正確に伝えるための手助けとなります。
典型例1 交際期間が短い
仮に日本人同士の結婚であっても、交際期間が短い場合にはおや?って感じるのが自然だと思います。昔からの知り合いで互いの素性を理解し合っている、交際していなくても友人や同僚として近しい存在であったなど、様々な事情があるので必ずしも交際期間だけで判断はできません。
しかしながら、配偶者ビザの取得に当たってはいかに入管に”余計な”嫌疑をかけられないかが重要です。実際に不法滞在目的で知り合って間もなく偽装結婚を経て配偶者ビザを申請する不正が多く存在するのです。
〇年以上であれば必ず許可されるという交際期間はありませんが、世間の感覚的に交際歴が短いなと思われる場合は入管申請でも当然に不許可リスクが高まります。
典型例2 会っている回数が少ない
交際期間が短いのと同様、お互いにほとんど会ったことがないまま結婚するとなると、当然おや?となるのが自然です。婚姻の実体が本当にあるのか、入管は当然に疑います。確実に配偶者ビザの許可取得を考えるのであれば、直接会う機会を増やした上で結婚を考えるのがいいでしょう。また、すでに結婚している場合は少し離れ離れになる期間が長くなったとしても、お互いの国を行き来するなどして婚姻の実態を証明できるように実績をつくるのがいいでしょう。
〇回会っていれば問題なしという基準はありませんが、客観的にみて少ないと感じる数回の交流だけでは許可取得が難しくなります。
典型例3 年齢差がある
年の差など関係ない、気にしないという方々も多いのは確かです。しかしながら、年齢差がある外国人との結婚では日本人側が騙されてしまっている事例が多くあります。不許可リスクが高くなるのは事実ですが、正当な結婚である客観的事実を説明することができれば十分に配偶者ビザを取得できます。
前提となる考え 年齢差が大きい国際結婚では、現実問題として偽装結婚の割合が高くなっています。そのため、外国人配偶者との年齢差が大きい場合の配偶者ビザ申請では審査が厳しくなり、ビザ取得難易度が上がります。具体的には、15歳以上の年齢差[…]
典型例4 離婚歴がある
夫婦ともに初婚であれば問題はありませんが、国際結婚に伴う偽装結婚や不法入国などを事前に防ぐため、入管は夫婦の離婚歴を注視します。申請者(外国人)に日本人との離婚歴がある場合、または日本人に外国人との離婚歴がある場合、婚姻の実態についてより厳しく審査される傾向があります。婚姻の実態について詳しく説明するとともに、前婚の離婚理由等も説明が求められます。
また、前婚が日本人同士の結婚であったとしても、離婚歴が2度3度と複数回繰り返している場合、配偶者ビザを許可したとしてもまたすぐに離婚するのではないかと入管が疑念の目を向けることは致し方ありません。離婚回数が多いほど、配偶者ビザ取得の難易度は当然高くなります。
なお、配偶者ビザの申請において夫婦の交際期間が前婚と重なっている場合、注意が必要です。入管審査では前婚期間中の交際はネガティブにとらえられます。前婚の婚姻関係が事実上破綻していた場合であっても、どのような経緯で交際を開始し離婚・再婚に至ったのか、丁寧に説明しなければなりません。
夫婦いずれかに離婚歴がある 配偶者ビザの必要書類の一つである「質問書」には、夫婦それぞれの離婚歴(結婚歴)を記載する質問項目があります。夫婦ともに初婚であれば問題はありませんが、国際結婚に伴う偽装結婚や不法入国などを事前に防ぐため、[…]
典型例5 出会いの場所
日本人同士の結婚であっても結婚相手との出会いの場所やきっかけは様々であり、一昔前に比べれてかなり多様化しています。SNSや婚活サイト・マッチングアプリなどはそれらの典型例です。男女の出会いの場としてSNSやマッチングアプリがダメだということはまったくないのですが、外国人が偽装結婚・配偶者ビザ取得のために悪用している例が多いことも事実であり、入管審査ではかなり厳しくチェックされます。
これらの他にも、スナックやキャバクラなどのいわゆる水商売を行うお店などで出会った場合も、夫婦の婚姻実体を慎重に立証する必要があります。
典型例6 配偶者ビザの申請時期がイレギュラー
期限満了の直前に配偶者ビザを申請する
就労ビザをもって日本で暮らしている外国人や留学ビザをもって学校に通っている外国人が、期限ぎりぎりの段階で配偶者ビザ(への変更)を申請する場合は注意が必要です。日本に滞在を続けたいがために配偶者ビザを悪用しているのではないかと入管が疑念をもつからです。配偶者ビザ(への変更)が必要になった理由や経緯をしっかりと根拠立てて説明することが必要となります。
結婚後に何年も経ってから配偶者ビザを申請する
夫婦に事情は様々ですから、国際結婚後もお互いの国で離れて暮らす方々もたくさんいます。しかしながら、入管への配偶者ビザ申請を行う際、例えば結婚後5年や10年経って外国人配偶者を日本に呼び寄せるなどの事例では、離れて暮らしていた期間の婚姻実態が把握しづらく、入管へしっかりとした事情説明がなければ不許可リスクが高まります。
典型例7 過去記録との矛盾
入管は外国人の過去の申請記録を保有しています。外国人配偶者がビザを申請するのが初めてではなく、過去に例えば留学生や技能実習生としてビザ申請していた場合、過去の申請書類や資料などとの整合性まで含めて審査されます。審査期間は長くなるとともにビザ取得難易度が格段に上がります。
他にも、配偶者ビザを保有している外国人が離婚し、新たに配偶者ビザを申請する場合もあてはまります。申請記録や経歴に矛盾や疑義が生じた場合、結婚や配偶者ビザ申請の信ぴょう性が失われ、不許可リスクが高くなるので注意が必要です。
典型例8 結婚式を挙げていない/親に紹介していない
様々な事情があると言え、日本人同士の結婚でも親や兄弟姉妹などが結婚した事実を知らない場合、おや?と思いますよね。国際結婚であればなおさらです。配偶者ビザの申請では「質問書」という書類の提出がしなければなりませんが、この中の質問事項にも親族等が婚姻の事実を知っているかどうかが含まれています。親族が婚姻事実を知っていることが結婚の正当性を示す重要な要件になることが挙げられます。事情により、外国人配偶者と結婚した事実をお互いの親族等に知らせることができなかった場合では、たとえプライベートなことであっても理由や経緯を丁寧に説明する必要があります。
はじめに 質問書は配偶者ビザを申請する際に必須となる書類です。審査では、質問書の記載内容が許可・不許可に大きく影響します。お二人の結婚が正当なものかどうか、信ぴょう性を確認するためのもので、下に示すように質問書は通常8ページ、大きく[…]
典型例9 収入が低い
配偶者ビザの申請において、日本人配偶者側の収入は重要なポイントです。〇百万円以上の収入があれば確実に許可されるという保証はありませんが、直近1年の収入額が本人と被扶養者の合計人数に78万円を乗じた金額が一つの目安です。確実に収入面をクリアするためには月収として20万円、年収としては300万円程度を見ておく方が安心です。収入が低い場合であっても、各々申請者の世帯状況・生活実態に応じて外国人配偶者と日本で経済的に安定した生活ができることを立証することができれば、ビザを取得することも可能です。
前提となる考え 配偶者ビザの申請において、日本人配偶者側の収入は在留資格を取得できるかどうか重要なポイントとなります。収入が低いと配偶者ビザの取得が難しくなることは確かですが、何百万円以上の収入があれば確実に許可されるという保証もあ[…]
典型例10 夫婦間のコミュニケーションが不十分
入管は夫婦のコミュニケーション手段も重要視します。実際、配偶者ビザ申請の「質問書」でも問われる事項です。一昔前と比較すれば翻訳・通訳アプリやデバイスの進化は目を見張るものがありますが、それらを介さなければコミュニケーションが取れない夫婦にはトラブルが多いのも事実です。コミュニケーションが不十分であるにもかかわらず結婚しているとなると、入管が疑念を抱くのも無理がありません。
まとめ
以上、配偶者ビザの申請で不許可となりやすい事例を確認しました。配偶者ビザが不許可となっても必要な修正や補完を行った上で再申請することが可能ですが、相当の時間と労力が必要となることはもちろん、許可取得のためのハードルがさらに上がります。
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―記事を書いたのは私です―
行政書士あくろ事務所 代表
川戸 勇士
東大大学院博士課程修了/行政書士・薬剤師・博士(薬学)
薬・医療・国際化をキーワードとする許認可手続きを業務の柱として、すべての人が健康で豊かな暮らしを実現できる社会を目指しています。
レモンサワー・とり天・うなぎが大好物。
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