はじめに
日本で生まれ育った在日韓国・朝鮮人の方、日本に留学してそのまま日本で就労している外国人の方、日本人と結婚して日本に住んでいる外国人の方などが、日本国籍を取得するために帰化許可申請手続きをしています。
法務省の発表によると、過去10年の帰化申請者数および許可・不許可者数の推移は以下のとおりです。
帰化申請者数 | 許可者数 | 不許可者数 | |
---|---|---|---|
平成24年 | 9,940 | 10,622 | 457 |
平成25年 | 10,119 | 8,646 | 332 |
平成26年 | 11,337 | 9,277 | 509 |
平成27年 | 12,442 | 9,469 | 603 |
平成28年 | 11,477 | 9,554 | 607 |
平成29年 | 11,063 | 10,315 | 625 |
平成30年 | 9,942 | 9,074 | 670 |
令和元年 | 10,457 | 8,453 | 596 |
令和2年 | 8,673 | 9,079 | 900 |
令和3年 | 9,562 | 8,167 | 863 |
帰化許可者数(累計) | – | 585,488 | – |
帰化のメリット
日本の戸籍を所有
帰化は日本国の国籍を取得して日本人になることですので、当前ですが日本の戸籍を持つことになります。
したがって、結婚したり家族をもったりすると、配偶者や子は日本人の場合に家族で同じ戸籍に入ることになります。外国人が公的書類を取得する際にはほとんどの場合において本国の領事館等での手続きが必要ですが、帰化をして戸籍をつくることにより、日本の市町村役場で手続きを行うことができます。住民票をはじめとする各種書類は、外国人用のものではなく日本人と同じものになります。
日本人としての名前を取得
日本で暮らす外国人は、日本での生活上の支障や差別を少なくするため「通称名」を名乗る機会が多いです。
通称名を名乗ること自体の違法性はないですが、あくあで通称でニックネームに近いものです。公的手続きには使用できません。
帰化申請では、日本人として新たな名前を自由に決めることが可能です。通称名ではなく、帰化して日本国籍取得後はすべてこれを本名として公的手続きすることが可能になります。
日本国パスポートを所有
日本国パスポートは一般的に”世界最強”とされています。2022年1月に行われた最新の調査結果では、ビザを取得することなくパスポートのみで最も多くの国へ渡航できる国は日本となりました。日本国民であれば、現在192カ国の国々へビザを取得せずに渡航が認められており、世界中で日本人が信頼されていることがわかります。
帰化は日本国籍の取得であり、在留資格ではありません。当然ながら、在留資格申請手続きや在留カード(または特別永住者証明書)更新手続きは今後不要となります。また、日本人ですので退去強制(強制送還)という概念は消失します。
日本人と同様の社会保障
日本国籍を取得すれば、当然日本人とまったく同じ待遇で社会保障を受けることができます。
参政権
地方自治などにおいては法律によって外国人に参政権を付与することを可能としつつも、基本的に外国人に選挙権や被選挙権を与えることを日本国憲法は想定していません。一方で、日本国籍を取得すれば、選挙権も被選挙権も日本人と同等になります。
日本人としての信頼
銀行やローン会社からすれば、いつ帰国するか定かでない外国人に融資するリスクをわざわざ負いません。
帰化申請では、収入・経歴・素行・身分関係などあらゆる面を法務局から厳しくチェックされますので、帰化した外国人の信用度は当然高くなります。賃貸などにおいても同様で、外国人だからという理由で不当な差別を受けることはなく、日本人と同等の扱いとなります。
就職に有利
採用の上で日本人と外国人を同様に扱うことを示している日本の一般企業であっても、どうしても外国人であることが採用のハンデとなる場面は少なくありませんし、そもそも外国人が就職できない職業は多数存在します。日本国籍を取得することによってこれらの不安はなくなります。国家公務員になることだって可能です。
相続手続きが容易に
あまり知られていませんが、外国籍の方が亡くなった場合、相続に関しては亡くなられた外国人の母国の法律に基づいて処理しなければなりません。日本人だけしか関係しない場合であっても、相続はよくわからないものです。まして、外国の相続関係に関する法律やルールを自ら調べて相続手続きを行うことは、容易でないことを想像できるかと思います。帰化によって日本国籍を取得しておけば、遺族が相続で悩む負担が減ります。
帰化のデメリット
二重国籍は禁止 母国の国籍を消失
あえて帰化のデメリットを挙げるとするならば、帰化すると母国の国籍を失うことでしょうか。日本では二重国籍が認められていませんので、公的手続きにおいて母国では外国人として扱われます。国ごとに様々なので一概に言えませんが、母国で仕事が制限されたり、参政権を失ったり、社会保障を受けられなくなったりすることも考えられます。
母国の国籍を再取得することは困難
日本国籍を取得した後で母国の国籍に戻るのことは困難です。日本国籍を取得することによって、一般的には日本人として生涯を閉じることになります。
まとめ
帰化制度の概要を簡単に紹介しました。
帰化申請では制度の概要把握や必要書類の正確な理解が必要です。入管申請や帰化手続きの専門家である当事務所が責任をもって手続き完了までサポートいたします。
ご不明な点がございましたら、お気軽に当事務所へご相談ください。静岡県、愛知県を中心に全国47都道府県のお手続きに対応可能です。
―記事を書いたのは私です―
行政書士あくろ事務所 代表
川戸 勇士
東大大学院博士課程修了/行政書士・薬剤師・博士(薬学)
薬・医療・国際化をキーワードとする許認可手続きを業務の柱として、すべての人が健康で豊かな暮らしを実現できる社会を目指しています。
レモンサワー・とり天・うなぎが大好物。
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